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No.468

企画展示室2

福岡藩筆頭家老三奈木黒田氏展2 ―伝来の甲冑・刀剣と馬具―

平成28年4月12日(火)~平成28年6月5日(日)

銀大中刳半月脇立頭形兜

銀大中刳半月脇立頭形兜

 昨年25周年を迎えた福岡市博物館は、昭和58年より資料収集を進めていますが、その目録の第1巻の寄贈巻頭を飾るのが、福岡藩で筆頭家老(ひっとうかろう)だった三奈木(みなぎ)黒田氏の資料です。この展示で紹介するのは、同氏に伝来する甲冑(かっちゅう)、刀剣(とうけん)、馬具(ばぐ)などです。これらは初代一成(かずなり)と二代一任(かずとう)の2人の時代のものがほとんどで、しかも実戦で使用された跡が歴然としたものもあり、武功(ぶこう)を誇った福岡藩のなかでもとくに重い同家の位置が窺えます。


(一)三奈木黒田氏の登場

 同氏と藩主黒田(くろだ)氏とのゆかりは深く、天下統一の時代、織田信長(おだのぶなが)側についた黒田官兵衛孝高(かんへいえよしたか)が、荒木村重(あらきむらしげ)によって摂津有岡(せっつありおか)城(現伊丹(いたみ)市)に幽閉された際に、官兵衛を密かに助けた加藤重徳(かとうしげのり)の子・玉松(たままつ)(1571年生れ)が初代です。彼は官兵衛に引き取られ、その息子・黒田長政(ながまさ)(1568~1623)の弟分として成長して黒田一成と名乗り、長政に従って戦塵(せんじん)の日々を過ごしました。なお父・重徳のゆかりの品としては、兜の朱塗の脇立が家宝として伝わっています。

(二)馬具と武功の逸話

 一成は、若い時から馬を愛し、厩舎(きゅうしゃ)に座り込んで長い時を過ごすこともあったといわれ、また乗馬の術が巧みだったためか、若いころ参加した合戦では名馬とのかかわりが有名な人物です。
関ヶ原(せきがはら)合戦前の小山(おやま)(現栃木(とちぎ)県)の会議で、黒田長政は徳川家康(とくがわいえやす)に味方するように諸大名をまとめた功績で、徳川の葵の紋をつけた鞍(くら)を付けた馬を家康から拝領(はいりょう)しました。長政は鞍の載せてあった馬を一成に与え、一成はその馬に、螺鈿(らでん)が施され、巴(ともえ)の文が付けられた鞍を置いて、関ヶ原の前哨戦の合渡(ごうど)川合戦に参加しました。
一成はこの馬に乗り、長政に従い浅瀬を一気に乗り越えて西軍を混乱させ、難敵との格闘でも馬術を駆使(くし)して倒しました。なお三奈木黒田家に伝わった馬印(うまじるし)は、赤地に白抜きの唐人笠の紋が施されて、家宝として伝わっています。

(三)甲冑でたどる歴戦の軌跡

 黒田一成のもう一つの武功の逸話は甲冑に関するもので、これは彼が当時流行し、しかも斬新なデザインの当世具足(とうせいぐそく)に着けていたためです。たとえば関ヶ原の合戦の前に東西両軍が大垣(おおがき)城周辺で対峙(たいじ)したとき、黒田長政の本陣で一成は銀大(ぎんおお)中刳(なかぐり)半月(はんげつ)の大立物(おおたてもの)とよばれる、巨大な脇立(わきたて)の兜をかぶっていました。そのため遠くから見た西軍から旗指物(はたさしもの)だと思われて、一成めあてに大砲が打ちかけられるほどだったそうです。
 この関ヶ原の合戦の戦功で、長政は筑前(ちくぜん)ほぼ一国を家康から与えられ、長政は戦闘で武功を立てた黒田二十四騎(にじゅうよんき)の重臣たちに万石以上の領地を与えました。一成も現在の朝倉(あさくら)市の三奈木(みなぎ)を中心に約一万石の領地を拝領しました。
 初代藩主長政、息子の二代忠之(ただゆき)と続く藩政のなかで、一成は次第に藩政の中心となり、寛永(かんえい)9年(1632)からの黒田騒動では忠之を擁護(ようご)し、幕府から藩政を任されました。後の天草(あまくさ)・島原(しまばら)の一揆(いっき)鎮圧のための原城攻囲戦(はらじょうこういせん)のときは、一成はすでに60才を越え、若く血気(けっき)盛んな忠之に冷静なアドバイスを与えたり、幕府からの城攻めに関する質問に答えたりしています。この陣で着用していたのは、大小頭立(だいしょうずたて)のある置手拭形(おきてぬぐいなり)という鉄錆地(てつさびち)の当世兜です。
 一方、城攻めの先頭に立ったのは、孫で養子となり二代目になった一任です。彼が着用した甲冑は、のちに洗米熨斗(せんまいのし)前立の頭形(ずなり)兜と呼ばれているものです。城壁へ一番乗りを果して戦っているときに、一揆勢に上から石をぶつけられて負傷するほどだったのですが、この兜によって命は取り留めたと言われます。破損した兜は、後世に修理されるまで、そのままで長く家宝とされていました。

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
休館日
毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
pressrelease

Facata(博物館だより)

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