展示・企画展示室1

No.505

企画展示室3

ふくおか発掘図鑑8

平成29年12月12日(火)~平成30年4月1日(日)

盾持埴輪(拝塚古墳)

盾持埴輪
(拝塚古墳)

田んぼの下から前方後円墳!

 前方後円墳などの古墳は高い墳丘をもつため、現在でも地表上に残存しているものが少なくありませんが、早良平野最大の前方後円墳は水田の下から発見されました。入部(いるべ)地区の沖積地の圃場整備にともなう発掘調査で、古墳の周囲を巡る溝や葺石(ふきいし)がみつかり、全長75mにも及ぶ前方後円墳が姿を現しました。拝塚(はいづか)古墳と呼ばれています。埋葬施設は消失していましたが、古墳の周りに立て並べられた埴輪(はにわ)などが多く出土しました。埴輪は壺形を中心に、円筒形や、「朝顔形(あさがおがた)」(壺と円筒形を一体にした形)のほか、建物や武具などの器財、人物の形をした「形象埴輪(けいしょうはにわ)」もあります。時代は5世紀の初め頃。九州の豪族が埋葬された大形の前方後円墳を中心に埴輪が樹立され、埴輪の種類も増えます。特に拝塚古墳出土の盾(たて)を持ち冑(かぶと)を被った武人を表現した埴輪は九州の人物形埴輪としては最古の資料になります。本展示では拝塚古墳のほか、鋤崎(すきざき)古墳(西区)など時代の近い前方後円墳の埴輪も紹介します。
 古くから大陸の先進的な文物を受容してきた北部九州ですが、古墳時代においても対外交流は豪族にとって権力の基盤となるものでした。古墳時代中期の5世紀頃は鉄や馬などの新たな技術を朝鮮半島から導入した時代ですが、早良平野では吉武遺跡群(西区)など、朝鮮半島からの渡来人が多く居住したとみられる遺跡があり、地域経営を支えていたと考えられます。


薩摩塔の破片(箱崎遺跡第84次調査)

薩摩塔の破片
(箱崎遺跡第84次調査)

「薩摩塔(さつまとう)」初の発掘調査出土例

 中世の貿易都市として栄えた博多(はかた)遺跡群や箱崎(はこざき)遺跡(東区)からは、その賑わいがうかがえる膨大な量の遺物が出土していますが、最近の調査で初めて薩摩塔と呼ばれる石造物の破片が出土しました。最初に鹿児島県の事例が注目されたためにこう呼ばれていますが、中国式の特殊な石塔です。基本形は須弥壇(しゅみだん)の上に壺形の塔身(とうしん)があり、さらに屋根がのります。

白磁犬像(博多遺跡群第213次調査)宋商人の愛玩品か

白磁犬像
(博多遺跡群第213次調査)
宋商人の愛玩品か

 須弥壇の四面に四天王像など、塔身の龕がん中に尊像が表現されます。石材の多くは中国浙江省寧波産の梅園石(ばいえんせき)とみられています。分布は九州で約40例が知られ、鹿児島のほか、平戸から福岡平野周辺などの西北九州に多く分布します。福岡市域でも寺社などに伝わるものや油山天福寺(あぶらやまてんぷくじ)跡での採集品がありましたが、発掘調査での出土は全国初となります。薩摩塔の発見地は宋代の中国商人との関わりが深い地が多く、彼らの信仰に関わる産物と考えられています。(森本幹彦)


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開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
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休館日
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(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
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