教科書に登場する最もポピュラーな国宝、それが金印です。その特徴を三つあげるとすれば、黄金で、五つの漢字が刻まれていること、それと鈕(つまみ)が蛇をかたどっていることがあります。福岡市博物館の常設展示の入場者数から単純に割り出すと、一辺2.3センチ、重さ108グラムの金塊に年間、数十万人の視線が注がれている計算になります。
 国内の博物館には本物から型をおこした金印のレプリカ(複製品)が当館を含めて4点あります。本物とレプリカはどこが違うのかという質問をうけることがあります。とにかく小さなものなので遠くから見わけるのは無理です。しかし手に取れるくらいの距離で気合いを入れて観察すれば違いがわかるはずです。字の彫り込みと、蛇の鱗を表した魚子(ななこ)とよばれる鏨(たがね)の鋭さが本物とレプリカでは比較になりません。もちろん本物のほうがシャープで、文字の彫り込みのミゾは、今しがた彫り上げたような艶(なま)めかしさがあります。


金印 横

金印 正面

金印 上

心得の一、金印を見るときは展示ケースに顔を近づけ、食いいるように見るべし。