No.16 戸次鑑連書状(べっきあきつらしょじょう)(三苫重義資料)



戸次鑑連書状


立花城遠景
 三苫重義(みとましげよし)資料(福岡市指定文化財)は、昭和61年に同氏より寄贈を受けました。総数45点の戦国時代の文書で、大半は豊後大友氏とその家臣等から三苫氏へ出されたものです。三苫氏は元香椎宮の神官を務めたことから、本資料の多くは香椎宮(かしいぐう)に関わっています。又、戦国期香椎宮社家の武家被官化の状況を示しています。
 ここに掲げた7月29日付、大宮司・勧進坊・三苫式部少輔宛、戸次鑑連(べっきあきつら)書状はその内の一点です。香椎宮が鑑連の「立花西城督(たちばなにしじょうとく)」就任を祝して進物を贈ったことに対して、鑑連が礼を述べています。  
本史料は元亀2(1571)年に年次比定されますが、当時、永禄(えいろく)末年に行われた毛利氏との戦闘が終わったばかりでいまだ不安定な政治状況にありました。そこで、大友宗麟(おおどもそうりん)は毛利氏の反撃にそなえながら戦後処理を行うべく鑑連を筑前に派遣します。鑑連はそれまで宗麟の許で年寄(としより)を務め大友氏の権力の中枢にありました。その鑑連が年寄の任を退き現地に赴くことは、任務の重要性と宗麟の期待の程を表わしています。立花城(たちばなじょう)は、福岡市東区、粕屋郡新宮町・久山町にまたがる立花山(標高367.1メートル)に所在し、本丸のある頂上からは博多湾・福岡平野を一望のもとに見渡すことができます。筑前、とくに博多を支配しようとする場合、重要な政治・軍事的拠点であることが一目で分かります。
(堀本 一繁)