No.18 朝鮮通信使行列絵巻(ちょうせんつうしんしぎょうれつえまき)



朝鮮通信使行列絵巻(登城行列図・部分)

 江戸時代、幕府を開いた徳川家康は、豊臣秀吉の文禄(ぶんろく)・慶長(けいちょう)の役によって断絶した朝鮮国との国交を回復させました。この後、最初は朝鮮出兵の戦後処理のため、寛永(かんえい)年間以降は両国親善のため、徳川将軍の代替りや世子誕生の時、朝鮮国王の親書をもった使節団が来日するようになりました。この使節団を朝鮮通信使といいます。朝鮮通信使は総勢400人前後で、道中諸大名の接待をうけながら、海路・陸路を使って江戸へ向かいました。今でもこの道中の様子を描いた行列図が各地に残されています。
 ここではその中で、正徳(しょうとく)元(1711)年に来日した朝鮮通信使の行列図を紹介します。全3巻(往復の道中行列図、江戸登城(とじょう)の行列図)で、この写真の行列図は朝鮮通信使が国書を徳川将軍に渡すため江戸城へ登城するところを描いたものです。この場面では輿(こし)に乗っている正装した正史(せいし)が描かれています。正史だけでなく副使(ふくし)、従事官(じゅうじかん)も正装して、乗り物も道中の行列の時とは違えて篭から輿に変えました。
 ところで、正徳元(1711)年の通信使を描いた行列図は本資料のほか、何セットか存在が知られていますがそのいずれもが各巻40メートル前後の長さがあり、通事(通訳)、楽隊に至るまで、総勢400人あまりの行列の構成を忠実に再現したことに特徴があります。このことから、これらの行列図は鑑賞のためでなく、記録として描かれたものと推定されます。
(門野 恵)