No.20 伝・狩野永徳(かのうえいとく)筆 
      二十四孝図屏風
(にじゅうしこうずびょうぶ) 6曲1双



親のため冬に筍を掘る
孟宗(もうそう)
(右隻部分)
 二十四孝図とは中国の有名な二十四の孝行話のこと。この屏風には、そのうち十二の逸話が描かれています。ひとつの物語が1扇(せん・ひとつのパネルのこと。この屏風では左右で6面ずつ、合計12扇あります)におさまるように配置され、それぞれ独立した逸話なのですが、全体としては風景が連続して見えるように配慮されています。落款印章(らっかんいんしょう・画家のサインやハンコ)はありませんが、桃山時代を代表する画家狩野永徳(1543〜1590)が描いたと伝えられています。構図(こうず)や描写の特徴から判断すると、確かに初期狩野派のすぐれた画家が描いたことに間違いありません。  
また、この絵の上部には余白があり、そこに色紙が貼られ文字が書いてありますが、これは、それぞれの物語を詠(うた)った漢詩で、書いたのは当時の著名な4人の禅僧(ぜんそう)たち。そのうちのひとり策彦周良(さくげんしゅうりょう・1501〜1564)は、中国の明(みん)国との貿易の副使(ふくし)や正使(せいし)をつとめた人物で、明に渡る際に博多に逗留(とうりゅう)しています。ほかの禅僧たちも博多の禅僧と交友関係があり、この屏風は室町時代の博多とゆかりのある作品なのです。また、彼らの没年から、この屏風の描かれた年代も推定できます。
 ところで、二十四孝図といいながら描かれた物語は半分の十二しかありません。実はもともと2双(4隻)として描かれた事が文献史料からわかっています。いつかどこかで発見されれば、と思われませんか。
(中山喜一朗)

向かって左隻
室町時代(16世紀半ば) 紙本墨画屏風装 154.0×344.0cm(各隻))