刀にまつわる長政公のありがたい言葉
福岡市博物館学芸課の宮野です。最近のお気に入りの言葉は「おめえたちも生意気すると此の通りだぞ」©山本作兵衛 です。
さて、最新号の「福岡市政だより平成27年7月1日号」が大変なことになっています。
なんと6月1日号5面の25周年の紹介に続いて、今回は1面と2面で夏休みは博物館に行こう!という特集が大々的に組まれたのです。
※福岡市民でない方はこちらからどうぞ(7月1日号は近日中にアップされる予定です)→「福岡市政だよりのページ」
折しも世間は刀剣ブームということで、記事の中でも当館所蔵の刀剣のことや新発売の刀剣ポスターについても触れてもらっています。
これを機会に博物館にこれまで以上にたくさんお客さんが来ていただければありがたいところです。
とはいえ、浮かれてばかりもいられません。こんな時に我らが長政公(福岡藩初代藩主黒田長政)だったらこの状況を見てなんと言っただろうと思いまして、調べてみましたら、以下のような「お言葉」が見つかりました。
その1、「刀は切れてなんぼ!大将たる者は刀の目利きではなく人の目利きたれ!」
【以下原文】
「或時長政へ寺澤志摩守より使者来る。長政使者に対面し、志摩殿子息は今何事を好み給ぶそと問ひたまふ。御使者答えていはく、馬鷹の外別にさし立て好み申ざるる事御座なく候。去ながら、折々には刀脇指の目利を好んで仕られ候とぞ申ける。長政聞給ひて、刀脇指は武士の重宝なれども、只其刃の利(とき)と鈍(にぶ)きとをえらびて、よく切るるを用ひ給ふベし。しいて其作の上下をえらび給ふべからず。又大将の目利は本末あり。先(まず)人の目利を知るを本とす。大将人を知らざれば、よき者を捨て悪しき者を用ゆる故、国家をみだすもの也。才不才と剛臆をしらずして妄(みだり)につかへば、必事を仕損するものなり。是大将の第一の目利なり。刀脇指は其道の目利者にまかせ、先(まず)人の目利を好み給へと申べし。又刀脇指などの目利を心がくるごとく、人の目利を常に心がけて見ならへば、人を見知る事はづれざるものなりとぞのたまひける。」(『新訂黒田家譜』第一巻、526ページ)
その2、「刀と脇差は2セットあれば十分!毎日手入れして刀に感謝せよ!」
【以下原文】
「度々申候様、刀脇差我思ひ入たる一腰宛ニ、指かへ一腰宛、此外ハ無用ニ候。我等能々試候而覚申候。惣而武士ハ毎日死を極居不申侯ヘハ、事ニ望越度有之、毎日朝夕刀脇差自身ぬくいあらため候て頂戴いたし、一日一日の無事有事此二腰の徳なる事をうやまひわすれざるが肝要ニ候」(『新訂黒田家譜』第一巻、538ページ)
現実主義者の長政公らしい「お言葉」でした。
ということで、長政公の「お言葉」についてもっとお知りになりたい方は下のリンクからどうぞ。
「長政公はかく語りき」平成22年10月5日〜11月21日
「長政の手紙」平成27年4月21日〜6月21日
併せて↓こちらも宜しくお願いいたします。