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  • 第18回新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし

特別展示室A

平成17年11月16日(水)~12月18日(日)

 本年10月、福岡市博物館は開館15周年を迎えることができました。開館に先立つ博物館建設準備室以来、市民の皆様からのご協力をいただき、お蔭をもちまして、収蔵資料も10数万件に達しました。
 この展覧会は「ふくおかの歴史とくらし」と題し、開館前の博物館建設準備室のころからほぼ毎年行われているもので、今年は18回目となります。展示する資料は、平成14年度に収集し、整理作業を経て新たに登録された3,226点のなかから、福岡とその周辺の歴史とくらし、文化に関する代表的なものを選び、考古、歴史(近世・近代)、美術、民俗に分けて紹介します。
最後になりましたが、貴重な資料をご寄贈、ご寄託いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。そして観覧された方々には、この展示をとおして福岡の歴史と人々のくらしに関心を寄せていただくとともに、福岡市博物館の資料収集活動にご理解とご協力をいただければ幸いです。


●― 考 古 ― 弥生時代の技術革新


?王之印レプリカ

 北部九州は、日本に稲作農耕技術をはじめとする文化が流入し始めた頃から、中国大陸や朝鮮半島との交流の場として発展してきました。そして福岡は、それらの技術を国内環境に適合できるように、発展と成熟をさせてきた場所です。
  当館常設展示室 ( 総合 ) に展示している国宝金印「漢委奴国王」は、当時の最新技術であった金属器やガラスをつくる技術を背景に発展した福岡と、中国の後漢王朝とのつながりを示す資料です。平成14年度には中国北京市の中国国家博物館の協力で、中国雲南省で発見された蛇のつまみを持つ?王之印のレプリカを制作し、「漢委奴国王」金印と比較できるように展示しています。
  また、春日市須玖坂本(すくさかもと)遺跡から出土した弥生時代の連鋳(れんちゅう)式の銅鏃(どうぞく)の鋳型(いがた)レプリカと、その鋳型から造られる銅鏃復元品も制作しました。これは、当時武器の大量生産が必要であった奴国の社会的情勢と、それにあわせた技術革新の状況を裏付ける資料です。 このように福岡市博物館では、実物資料とともに、歴史をより深く理解するために、複製品 ( レプリカ ) を制作し、展示しています。



銅鏃鋳型レプリカ

― 歴 史(近世)― 福岡藩の時代と文化


野口佐助一成肖像画

 近世の福岡は藩主黒田家のもと、新しい城下町福岡を建設しました。初代藩主黒田長政は、父黒田孝高 ( 如水 ) とともに、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の天下統一事業に参加し、その功績を認められて筑前一国の大名となりました。「茶堂定」は、如水が茶室に掛けていたとされるものの写しです。また、如水夫人照福院(しょうふくいん)の甥櫛橋定重(くしはしさだしげ)の家系に伝わった資料などからも、藩祖如水を知ることができます。
今回も福岡藩士に関する資料を多くご提供いただきました。
  黒田二十四騎の一人で、如水・長政に仕え、福岡築城にも功があった野口佐助一成(のぐちさすけかずなり)の肖像画や甲冑、播州出身で藩の重臣であった大音(おおと)家に伝来した甲冑、筑前入国時に長政から200石を与えられた藩士庄野(しょうの)家に伝来した刀剣類など、近世初期から黒田家を支えた藩士の資料を展示します。また、三代藩主光之(みつゆき)に召し抱えられた周防(すおう)家の文書や陣笠、上野家に伝来した甲冑や陣羽織など、多数の資料群が出品されます。その他、藩の大老三奈木(みなぎ)黒田家の有力家臣であった加藤家に伝わった武具類や、藩の重臣久野家に仕えた光冨(みつとみ)家に伝わった書物、秋月黒田家に仕えた坂田家の文書、武器類など、福岡藩を取り巻く武士の果たした役割を知る上で貴重な資料です。
  その他には、福岡藩刀工信国派による刀剣や、平成十四年度に当館で開催した「黒田家・その歴史と名宝展」の調査で発見された藤巴紋入の食器類なども見ることができます。
  近世の文化に関する資料としては、まず福岡藩を代表する学者亀井家に関する資料を展示します。医者・儒学者であり、志賀島発見の金印について考察した『金印弁』を書いたことで知られる亀井南冥(なんめい)の書や、南冥の次男大壮(だいそう)の肖像画を展示します。その、南冥らに師事した博多の画家で、文化人でもある奥村玉蘭(ぎょくらん)の肖像画や、玉蘭が文化9 ( 1812 ) 年太宰府天満宮に寄進した絵馬堂の瓦、江戸時代後期の福岡の商家に生まれた歌人・大隈言道(おおくまことみち)に関わる資料などを紹介します。