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昭和60(1985)年度収集 収蔵品目録3

【寄贈】

目録 資料群名 解題 件数 点数
1 安川巌収集資料 〈故安川巌氏について〉
 郷土史家、福岡地方史研究会幹事。昭和51年に県庁を退職。在職中から市内の旧家に埋没している古文書の発掘、目録化に努め、地方史研究に寄与した。近世の下級武士、農民、商人の生活史に詳しく、独学ながら黒田藩政研究の権威といわれた。西市民センターの古文書を読む会など後進の育成にも尽力。また、ランプの研究家としても知られている。著書には、「原色図説洋灯考」「にっぽんらんぷ考」「加瀬家記録」(『日本都市生活史料集成』3巻)、「黒田三藩分限帳」等がある。
〈資料内容について〉
 本資料のなかで、複写本は、故安川氏が市内の旧家に埋没している古文書調査を積極的に行なったときのもので、得がたい資料になっている。また、地図類、絵葉書、パンフレット等は、明治から昭和にわたっており、市内の景観(当時の風俗を含めて)を知ることができる資料として貴重である。
1,508 4,241
2 中村伊右衛門資料  中村家の当主は、代々「伊右衛門」を名乗っており、江戸時代には庄屋、組頭などの村役入を務め、江戸時代の後期には農業の大規模経営や金融業を営む豪農層であった。明治時代には、農業構造改善や水利事業を積極的に進めるなど、農業の近代化を推進している。本資料は、江戸時代から明治時代にかけての豪農層の経営の方法・実態を示す資料群で、大福帳、各種証文類、預り手形、土地・小作・農事・組合関係文書などを含んでいる。 1,061 1,069
3 中村利弘資料  本資料は、江戸時代初期より桑原で農業を営んできた中村家に伝えられたものであり、江戸時代における農民の経営と生活の実態を示す資料である。天文16(1547)年の宝殿一宇奉造建願文写を初見史料として、明治26年のものまで199通を含み、内容としては、永代売・質地関係・借用証文類、年貢・地租税・藩政・村政関係及び桑原村鎮守老松宮関係文書などがある。 198 198
4 野間吉夫収集資料 〈故野間吉夫氏について〉
 鹿児島市出身。日本民藝協会理事、福岡民藝協会会長。福岡日日新聞社編集局(現西日本新聞社)を経て、戦後夕刊フクニチ新聞社(現フクニチ新聞社)に勤務。昭和46年に退社。在職中から、九州を中心とした民俗の研究、民藝品の調査・収集を行った。著書には、「シマの生活誌」「玄海の島々」「五馬聞書」「椎葉の山民」「二川陶譜」「タイ民藝紀行」等がある。昭和58年没。
〈資料内容について〉
 九州一円から収集した民俗資料が中心である。なかでも、鹿児島を主とした南九州の資料は貴重なものが多い。また、民藝的な視点から選ばれた郷土玩具類には、現在見ることのできないものもある。特に、羽子板には日本民藝館にも所蔵されていない貴重な資料も含んでいる。
265 339
5 大多和喜八郎資料  黒田藩の藩主を含む高級武士の武具、什器など表向きの道具を主とした資料である。黒田藤巴紋や穀餅紋など黒田家の家紋を配した鞍、陣笠、胡籟、脇息、文箱ほか什器類が数多く含まれる。絵画も黒田二十四騎図、黒田長政像ほか黒田家の馬印、指物の図など黒田藩所縁の資料である。また、浜ノ町御殿のものと伝える黒田家の定紋の入った軒丸瓦、鬼瓦もあり、全体に保存状態がよく、江戸時代の黒田家を中心とした高級武士の生活がうかがえる貴重な資料である。 150 162
6 井上岩男資料  本資料は、大別して古文書と民俗資料とからなっている。とくに、地券は、耕地に関するものをはじめ櫨山、薮、林、山林に関するものまでバラエティーに富んでおり、貴重な資料である。また、民俗資料の中には、夜着(藍染の嫁入布団)、木炭式アイロン等があり、興味深い。 89 89
7 三苫重義資料
〈三苫重義文書)
 三苫氏は、東区三苫を本拠地とする土豪であり、かつ香椎宮の神官でもあった。戦国時代には大友氏の筑前支配の軍事拠点である柑子岳城や立花城に籠城している。本文書は、大永3(1523)年正月29日大友親治請取状を初見史料として、天正15(1587)年7月21日堀口三郎右衛門他2名連署状までの計45通から成るが、そのほとんどが香椎宮関係のものである。社領に関するもの、神事とその費用の負担を示したもの、祝儀の贈与に対する礼状などと共に、特に地理的関係から立花城督である戸次氏関係のものを多く含んでいる。 45 45
8 高倉一矢資料
(弁財天・茶吉尼天坐像)
 両像とも像高20センチ余の小像であるが、内を金に塗った厨子に入り、台座、岩座も美しく飾られており、京都など中央の仏工が制作した像で同工の趣がある。弁財天は土地豊饒の神あるいは言葉や音楽の神、さらに後世には十王童子を伴った福徳神として、茶吉尼天は人の心の垢を食い尽す神で稲荷の本体として信仰される。両像は伊達氏の城内での念持仏の伝承があり、江戸時代の信仰とその造形の一端を見ることができる。 2 2
9 北大路欣也資料
(遣唐使船模型)
 昭和56年3月に開催された神戸ポートピア博覧会において展示された遣唐使船は、太平洋学会の中心メンバーである茂在寅男東海大教授、石井謙治日本海事史学会副会長、松木哲神戸商船大教授らが中心となって歴史的考証を行い、実物大に建造されたものであったが、今回寄贈を受けた模型は、この遣唐使船の20分1の模型である。映画「空海」に主演した北大路欣也氏へ、製作母体の全真言宗青年連盟映画製作本部より記念に贈られていたものである。 1 1

【寄託】

目録 資料群名 解題 件数 点数
1 飯田覚資料  飯田家は、本貫地の尾張国で加藤清正に属し、賤ケ嶽合戦以来諸所において軍功をあらわしたが、清正の肥後入部に従い肥後へ移った。加藤氏改易以後は筑前に移り、寛永13(1636)年に新知行2,500石を賜い、先手の大頭を務めている。本文書の内容としては、中世大友氏関係(飯田文書とは別系統)、加藤氏関係(改易関係が多い)、黒田氏関係(島原の乱関係・長崎関係)などを含んでいる。 303 327
2 安川巌収集資料
(加瀬文書)
 加瀬家は福岡湊町で屋号を加瀬屋と称し、酒造業、質屋、隠岐国問屋を営むとともに、福岡・秋月両藩の銀主、福岡藩御家中御所帯銀主を請持った。
 本資料中の「記録」(16冊)は、加瀬家の家記録のほか、藩の政治動向、人事異動、天災地変、米作の豊凶、物価相場、風俗習慣等詳細に記録されており、注目に値する史料である。
70 198
3 志賀海神社資料
(志賀福神社縁起)
 東区志賀島に鎮座する志賀海神社の縁起絵である。掛幅装の3幅で、2幅に神功皇后の三韓出兵の経緯が描かれ、神社の祭神である安曇磯良の活躍が見られる。残りの1幅は神社の境内図を大きく描く。3幅とも絹本に着色され、描法の相違から境内図が鎌倉時代、他の2幅がそれよりやや下った制作と考えられる。本資料は中世に描かれた掛幅装の神社縁起絵として、また参詣曼茶羅の参考資料として貴重である。 1 3

【購入】

目録 資料群名 解題 件数 点数
1 筑後国竹野郡村々諸記録  江戸時代後期から明治時代にかけての竹野郡内の年貢、公役などに関する資料で、形態は全て長帳、長綴である。江戸時代のものは、竹野郡猪口村・五名村などの物成の算用帳、差引帳及び諸出銀割賦帳、大庄屋給米割賦帳など年貢関係のものが中心であるが、近代のものは、貢米方算用帳など村の公役関係のものと下作米取立帳など個入の経営史料が混在している。 330 335
2 松田家文書  松田氏は、粕屋郡勢門村〈現在、粕屋郡篠栗町)の出身で、現在は福間町商店街で商店を経営している。
 本資料は、土地関係が大半を占めている。とくに小作関係を含んでおり、地主と小作人との関係を解明する上で貴重な資料である。
186 225
3 筑後石井家文書  筑後国生葉郡大村(現在、浮羽郡)に住す。石井四遊ならびにその息子皿州は、全国的に著名であった日田の秋風庵月下の門下となる。肥後の綺石や筑紫俳壇と深いかかわりをもっていた石中庵石蘭とも交友があった。また、石井近義氏(元吉井町教育長)は、石碑の研究家として有名である。
 本資料中には、四遊ならびにその息子皿州関係の俳諧資料があり、近世九州俳諧史の一面を窺いうる貴重な資料である。
188 188
4 須子家文書  本文書は長門国一宮住吉神社の若宮(長門国豊西郡吉母村)社家須子家に伝えられたものである。元応2(1320)年の若宮大宮司職補任状を初見として、明治25(1892)年のものまで165通であるが、内容としては、社領関係、大宮司職の補任・安堵などに関するもの、神事関係、社殿の破損・修理に関するもの、米銭の貸借に関するものなどである。中世のものとしては、建武4(1337)年足利尊氏の地頭職寄進状や、大内氏・毛利氏関係のものなどが含まれている。 92 165
5 筑紫家資料  本文書は、秋月、原田氏などと共に戦国時代の筑前国を代表する筑紫氏に関する資料である。古文書・系図・絵図・書籍・和歌などを含む。古文書には筑紫家に関するものと共に、少弐満貞安堵状写など少弐氏関係及び足利尊氏感状写・同下文写、豊臣秀吉朱印状などがあり、絵図は肥前国基肄郡勝尾山筑紫広門城跡図や豊後国速見郡筑紫主水領の絵図などを含んでいる。 90 141
6 黒田藩御銀奉行関係資料  本文書は、江戸時代福岡藩において金庫の管理出納を掌り、その帳簿を経理した御銀奉行に関するもので時期的には幕末期のものがほとんどである。内容的には、御銀奉行宛の領収証が大半を占めており、財政難に際し、藩が貨幣改鋳を行った事実、長崎警備のための出張経費の出納、御銀奉行への上納のあり方などを窺い得る史料などを含んでいる。 62 62
7 野間吉夫民陶
コレクション
 すべてが生活に即して作られた陶磁器の中から選ばれており、かつ、形・色彩ともに美しいものである。九州の民窯の代表的な陶磁器が揃っている。なかでも、白石焼、龍門司焼、野間皿山焼の雑器は軟陶であるため、安価ではあるが得がたいものであろう。また、平佐焼は窯がすでに廃絶しており、現在入手するのは困難である。九州の民窯のほぼ全容を見ることができる貴重なコレクションである。 59 59
8 明治名家書簡集  本資料は、明治期における名家の書簡である。この書簡のなかには、五卿西遷の際来福した東久世通禧、三条実美、および三条の使者として活躍した土方久元のものが含まれており、三条、東久世、土方らの一面を示してくれる資料である。 2 18
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