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特別展示室A

平成16年12月17日(金)~平成17年1月30日(日)

江戸時代の福岡と博多

 黒田長政は、関ヶ原の合戦で徳川家康を助け、その功績を認められて、筑前52万石の大大名となりました。 加藤清正書状 は長政の父黒田如水に宛てられたもので、関ヶ原直前の豊臣・徳川双方の状況が伝えられています。また、 黒田長政(くろだながまさ)黒印状 黒田長政判物(はんもつ) など、藩主から家臣に与えられた書状からは、福岡藩初期の藩政や藩士の動向、幕府との関係などを知ることができます。判物とは、差出人のサインである花押がある古文書です。そのほかにも黒田家の系図を写した 君家御系図略 黒田長政遺言写 、福岡藩士建部家の 甲冑(かっちゅう) 刀剣 など、江戸時代の福岡藩士の活動を知ることができる資料が多数展示されます。さて、江戸時代の福岡はどのような様子だったのでしょうか。その疑問に答えるのが夜須・早良・怡土・鞍手4郡の 形相図(ぎょうそうず) と、17世紀末頃の城下を描いた 筑前国福岡城周辺絵図 です。
 江戸時代、能古島(のこのしま)は福岡藩の海運の重要な拠点でした。能古焼の 緑釉徳利(りょくゆうとくり) 、廻船で使用された 吹漆内朱塗五段割子弁当箱 、五ヶ浦廻船船主石橋家に伝来した 朱漆塗御所車・菊花文重箱 荒神釜 などから、その隆盛ぶりが窺うことができます。なお、志賀島の弘浦 ( 現福岡市東区弘 ) の様子を窺うことができる 近世志賀島(しかのしま)漁業関係資料 も展示されます。
 16世紀後半、福岡はキリスト教が盛んな地として、布教に訪れた宣教師たちが記録しています。 オリエント史、耶蘇会士通信集、イグナチウス・ロヨラ伝 を1冊にまとめたものは、そうした宣教師達と福岡との関係を探ることができる資料です。鎖国政策をとっていた江戸時代の福岡では、外国との交渉は絶たれていたと思われがちですが、長崎港の警備に当たったり、朝鮮通信使を接待したりと、世界情勢をつかむ機会に恵まれていました。 藍島鼓吹(あいのしまこすい) は享保4 ( 1719 ) 年に来日した通信使を接待した折、漢詩文を交換した記録です。また、福岡藩内の浦庄屋らへ宛てられた古文書である 異国船渡来関係資料 も展示します。
 近世の学問・文化に関する資料としては、薬物となる動植物を研究する本草学の名著である貝原益軒の 大和本草 亀井南冥(かめいなんめい)漢詩屏風 の他、福岡藩士小川家に伝わった 百人一首 大岡仁政録 、黒田騒動を題材にした読み物である 箱崎釜破故(はこざきふばこ) を展示します。また、今宿で酒造業を営んでいた西村家に伝わった俳句集である 天満宮奉納万句集 俳諧なには風流(ぶり) 俳諧発句名家類題集 からは、商家への文芸の拡がりをしることができます。そして、博多・中嶋町で曲物細工を商っていた庄林半助が記録した 旧稀集 には、寛政から慶応にかけての幕末の福岡・博多で行われた芝居や相撲興行の様子、喧嘩や盗難などの事件が挿絵を交えて描写されています。生き生きとした人々のくらしぶりが目に浮かびます。


江戸時代の美術・工芸


立涌牡丹文様唐織

 本館が所蔵する能装束は、平成5年度に収集した旧吉川観方コレクションの小袖や公家装束、平成11年度に収集した黒田家伝来品を含む能面などとともに、江戸時代の芸能や染織に関する重要なコレクションを形成しています。今回は 菊流水文様唐織(きくりゅうすいもんようからおり) 立涌牡丹文様唐織(たてわくぼたんもんようからおり) 若松文様縫箔(わかまつもんようぬいはく)・雲鶴文様縫箔(うんかくもんようぬいはく) の4領が展示されます。
 また 金梨地扇文螺鈿蒔絵重箱(きんなんじおうぎもんらでんまきえじゅうばこ) は、多彩な漆工技術を駆使して扇面を全体にあしらったものです。

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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