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No.098

歴史展示室

筑前五ケ浦廻船展

平成8年7月23日(火)~9月1日(日)

虎吉丸船おろし記念朱盃
虎吉丸船おろし記念朱盃
唐泊と宮浦(『筑前名所図会』)
唐泊と宮浦(『筑前名所図会』)
今津 、浜崎、能古島周辺(『筑前名所図会』)
今津 、浜崎、能古島周辺(『筑前名所図会』)

筑前五ケ浦廻船(ちくぜんごかうらかいせん)について

 江戸時代、博多湾内の西側にある、能古島(のこのしま)、浜崎(はまさき)、今津(いまづ)、宮浦(みやのうら)、唐泊(からどまり)の5つの浦の船乗りたちは、巨大な弁才船(べざいせん)(千石船)に乗り込んで、日本全国を舞台に活躍していたことがありました。彼らの廻船は五ケ浦廻船と呼ばれ、今もさまざまな足跡(そくせき)を残しています。本展示では、この五ケ浦廻船に関する資料を展示し、廻船による当時の海運業のようすや、筑前と全国のつながりを紹介していきます。

 五ケ浦の廻船は、福岡藩の年貢米(ねんぐまい)を大坂や江戸へ運ぶことを第一の仕事としていました。それが秋に終ると、こんどは東北や蝦夷(えぞ)地(現北海道)の米や産物を大坂や江戸に運びました。廻船業は長い間故郷を離れての、しかも海の大自然を相手の厳しい仕事でした。しかし利益も多く五ケ浦に繁栄をもたらしました。五ケ浦廻船が最も活躍したのは17世紀後半から18世紀の中頃でした。その後は、特に日本海側の廻船(北前船)の台頭(たいとう)や、数多くの遭難(そうなん)がもとで、五ケ浦のうち2ヶ所が活動を止めるなど、筑前五ケ浦廻船の全盛期はややすぎてしまいました。しかし幕末でも能古島の虎吉丸(とらよしまる)など1,700石積の巨大な廻船が、幕府の御用船に選ばれるなどの活躍をしており、江戸時代の五ケ浦廻船の歴史の最後のかがやきを見せています。

江戸時代の海運と弁才船(べざいせん)(千石船)

 17世紀後半、伊勢(いせ)国(現三重県) 出身で江戸の大商人だった河村瑞賢(かわむらずいけん)は、幕府に命じられ、東廻(ひがしまわ)り航路(日本海沿岸諸港→津軽(つがる)海峡→東北の太平洋沿岸→房総(ぼうそう)半島沖→江戸)および西廻(にしまわ)り航路(日本海沿岸諸港→山陰(さんいん)沖・下関→瀬戸内海→大坂)を開発し、これによって従来からある江戸・大坂間の航路とあわせて、全国の各地が「将軍の御膝元(おひざもと)」の江戸と、「天下の台所」大坂とが海運で結ばれることとなりました。そして幕府や諸藩の年貢米や特産物が江戸や大坂へ集まり、また大坂からはさまざまな工業製品が地方へ運ばれるという、この時代の経済の仕組が完成したのです。同時に、この海運の発展に適した船、弁才船(千石船)も現われます。大量の荷を積み、長距離を帆だけで走るという沿岸航行専門の船で、速度もあり、18世紀には廻船の主役となりました。米500石積(1,500俵)の小型のものから2,000石積の巨大なものまで造られました。


大日本海陸全図 大坂湾安治(あじ)川口の図(『浪華の賑ひ』)
大日本海陸全図 大坂湾安治(あじ)川口の図(『浪華の賑ひ』)
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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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