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No.140

考古・民俗展示室

発掘福岡空港-雀居(ささい)遺跡-

平成11年2月2日(火)~5月9日(日)

彩文壷
彩文壷

 今年5月、福岡空港国際線のターミナルビルが滑走路を挟んだ西側にオープンします。ご記憶の方は少ないかも知れませんが、国際線ターミナルのすぐ傍には先史時代の大集落、雀居遺跡が眠っていました。

 発掘は運輸省第4港湾建設局の整備計画にともなって91年、試掘(しくつ)調査を皮切りに始まりました。それまで空港内の埋蔵文化財に関する情報はわずかでした。ところが、いったん掘り起こしてみると弥生時代から古墳時代にかけての濠をめぐらした集落や大型の掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)が姿を現したのです。そのなかには第1級の考古資料も含まれていますが、保存状態のよい木器(もっき)から実年代を推定するデータも得ることができました。このほか低湿地の建物の基礎構造やブタなどを飼育する柵と考えられる遺構も明らかになりました。

 発掘は、今年度で一応の区切りとなります。出土した資料の保存処理や報告書の作成はこれからも継続されますが、国際線ターミナルの竣工にちなんで調査成果の一部をここに紹介します。

弥生時代の集落全景(4次調査)
弥生時代の集落全景(4次調査)

福岡空港のあゆみ

 福岡空港は、第二次大戦中の1944年、陸軍席田(むしろだ)飛行場としてつくられました。終戦後、米軍板付(いたづけ)基地として運営されてきましたが、1951年に福岡‐大阪‐東京の航空路が開設され、その後西日本の幹線空港として発展しました。現在空港内には航空自衛隊、海上保安庁、県警本部、福岡市消防局、そして米軍などが同居しています。

くらし

木柄を装着した石斧
木柄を装着した石斧

 考古学は類例をつき合わせた説明は得意ですが、使用目的や使い方となると今ひとつ暖昧(あいまい)です。つまり先史時代の個々のくらしの立証は、なかなか一筋縄ではいかないのです。たとえば石斧(せきふ)の装着方法は、木柄(もくへい)をつけた石斧が発見されてはじめて明らかになります。また丸太杭(まるたぐい)をびっしりと打ち込んだ径2メートルほどの細い溝の性格は当初不明でしたが、調査担当者の研究によって家畜を飼育するための柵の可能性がでてきました。

年輪年代

 「木の年輸はその土地の気候変化を記録する」この特性を活かした研究によって、現在から紀元前7~8世紀までのヒノキとスギの年輪のグラフ、暦年(れきねん)標準パターンが作成されました。雀居遺跡の木製品で最も新しい年代は西暦100年以降です。これにスギを加工する場合の平均辺材幅、33層分を加えると原材は西暦133年頃に伐採されたということになります。

倭国(わこく)乱る

 「桓(かん)・霊(れい)の間(桓帝・霊帝が在位した期間)、倭国おおいに乱れ、こもごも相攻伐し、歴年主なし」(『後漢書(ごかんしょ)』倭伝(わでん)この文は2世紀後半、当時の日本で勃発した争乱、『倭国大乱(わこくたいらん)』について記したものです。雀居追跡では、戦士が身につけた「木製のよろい」や「楯(たて)」のほか弓や銅鏃(どうぞく)・石鏃(せきぞく)が出土しています。また表面に煤(すす)がこびりついた大きな土器は、まるで緊急時の炊(た)きだしに使われたかのようです。

馬鐸
馬鐸

交易

 弥生時代になると、朝鮮半島に設置された楽浪郡(らくろうぐん)を経由して、大陸系の品々が流入し、技術も発展しました。ところが情報の送り手と受けとる側には若干のズレもあったようです。たとえば金属器の素材を、独自の発想で道具に加工したものがあります。このほか雀居(ささい)遺跡では、はるばる東北地方から運ばれてきた土器も見つかっています。


不思議な文様のある土器
不思議な文様のある土器

まつり

 「古代の人々は何を考えていたか」このテーマを出土遺物から探るのは考古学の醍醐味(だいごみ)のひとつです。雀居遺跡では机のような形の木製品が発見されました。もし机だとすると筆記具も見つかるのでしょうか。あるいはお供えをするためのテーブルなら、何をどのような仕草で祀(まつ)ったのでしょう。想像はとめどなく広がります。このほか不思議な文様のある土器を紹介します。

(常松 幹雄)

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
7月22日から8月27日のうちの金・土・日ならびに8月14日、15日は午後8時まで開館(入場は午後7時30分まで)
休館日
毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
8月14日、15日は開館、8月16日は休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
pressrelease

Facata(博物館だより)

福岡市博物館

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