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No.154

歴史展示室

瓦からみた福岡の歴史展

平成11年11月16日(火)~平成12年2月13日(日)

4 通常の瓦より分厚い怡土城跡出土の平瓦
4 通常の瓦より分厚い怡土城(いとじょう)跡出土の平瓦

4 古代の山城の瓦

 怡土城(いとじょう)は、福岡市と前原市との境にある高祖山(たかすやま)の西斜面に、たすき状に士塁をめぐらせた奈良時代の中国式山城です。756年、大宰大弐吉備真備(だざいだいにきびのまきび)によって築城が始められ、768年に完成しました。土塁のほか、城門、水門、望楼(ぼうろう)跡などがあり、礎石も残っています。軒丸瓦、丸瓦、平瓦(写真4)磚(せん)などが大量に出土しており、防御を目的とした怡土城の瓦は、通常の瓦より分厚いのが特徴です。

5 相ノ島沖引き揚げの「警固」銘平瓦
5 相ノ島沖引揚げの「警固」銘平瓦

5 瓦をつくった古代の窯

 老司瓦窯跡(ろうじがようあと)(南区)は奈良時代の窯跡ですが、昭和11年の道路工事の際に削られ形は明確ではありません。複弁八葉蓮華文の外区に鋸歯文(きょしもん)を施した軒丸瓦と扁行唐草文(へんこうからくさもん)(左右どちらかに唐草が流れる文様)軒平瓦がセットの瓦が出土しました。この老司式瓦は大宰府の役所や寺院、九州の各地にも広く分布しています。

 斜ケ浦瓦窯跡(ななめがうらがようあと)(西区)は、平安時代の窯跡で「伊貴作瓦」「警固」銘等の文字瓦が出土しています。鴻臚館跡の「伊貴作瓦」銘瓦、玄界灘の相ノ島沖(あいのしまおき)から引揚げの「警固」銘瓦(写真5)、平安京出土の「警固」銘瓦から、斜ケ浦瓦窯で焼かれた瓦は、鴻臚館や海上ルートで平安京へも運ばれていたことがわかります。


6 博多出土の中国風の花卉文軒丸瓦と押圧波状文軒平瓦
6 博多出土の中国風の花卉文(かきもん)軒丸瓦と押圧波状文(おうあつはじょうもん)軒平瓦(博多65次調査)

6 特異な中国風の瓦

 博多遺跡群(はかたいせきぐん)(博多区)やその周辺から、花卉文(かきもん)の軒丸瓦、下端がフリルのように押圧(おうあつ)された波状文(はじょうもん)の軒平瓦(写真6)など、中国に起源する瓦が相ついで出土しています。最近では、薄手で小振りの平瓦、さらに大棟(おおむね)の両側に置かれた鴟吻(しふん)(鯱(しゃち)の祖形)などのセット関係が想定されています。平安時代末期から鎌倉時代(11世紀中~13世紀中)に、博多津唐房(はかたつとうぼう)(大唐街)に建てられた宋人百堂(そうじんひゃくどう)(仏堂)などに使用されたのではないかと考えられ、国際的でエキゾチックな屋根瓦が建ち並ぶ、当時の博多の光景を思い浮べることができます。

(林 文理)

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開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
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