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No.324

黒田記念室

福博写真館

平成20年7月23日(水)~9月7日(日)

 幕末、日本で最初の写真館が横浜と長崎に開業してから、約150年になります。幕末から明治時代の前半には、外国人向けに、日本の風俗や風景を撮影した写真が販売されました。20世紀に入って、日本でも絵はがきが発行できるようになると、日本各地で名所を撮影した絵はがきが発行されました。福岡・博多の名所絵はがきもたくさん発行されていますが、神社・仏閣などの旧跡ではなく、近代的な建築や賑やかな町並みなどの都会的な風景が多いようです。
 今回の展示では、福岡市の玄関口・博多駅、市の中心である天神地区、そして、福岡市博物館があるシーサイドももち地区の写真を集めました。20世紀前半の絵はがきと、戦後の航空写真などを展示しています。懐かしい風景や町並みの変化を楽しむとともに、そこに生きる人びとのくらしの変化も想像してみてください。


大正時代の二代目博多駅
大正時代の二代目博多駅

福岡市の玄関口-博多駅-
 現在の博多駅は昭和38(1963)年に開業した三代目の駅舎で、平成23(2011)年春の九州新幹線の全線開通に合わせた駅舎の建て替え工事が進行中です。
 明治22(1889)年に博多駅が開業したとき、初代の駅舎は現在の地下鉄祇園駅の南東、ややJR博多駅寄りにありました。出来町公園(博多区博多駅前1丁目)あたりから大博通りにかかるような位置に駅舎があったようです。出来町公園には「九州鉄道発祥の地」という記念碑が建っています。
 初代の駅舎を大幅に拡張、改築した二代目の駅舎は、明治42年に開業し、昭和38年まで親しまれていました。その頃、現在の博多駅があるあたりは、農地が広がっていました。


昔も今も福岡市の中心-天神-
 天神には福岡市の中心があります。福岡市からの距離を示す際の起点となる基準点・道路原標が西中島橋西詰、西中州公園(中央区天神1丁目)横にあるのです。もちろん、天神が福岡の中心と認識されているのは、道路原標のためばかりではありません。
 明治9年(1876)に福岡城内から県庁が天神町(てんじんのちょう)に移転してきました。それ以来、福岡市役所、警察署などが建ちならぶ官庁街として、現在の天神地区は歩み始めました。
 県庁が昭和56(1981)年まであったのは、現在のアクロス福岡や天神中央公園のある場所(中央区天神1丁目)です。明治22年に市制が施行された当時、市役所は水鏡天満宮近くに置かれました。現在、アクロス福岡前の横断歩道の脇に「市役所跡」という小さな碑が建っています。その後、市役所は、明治27年から水鏡天満宮の東隣にありましたが、大正12(1923)年に現在の場所に新庁舎を建設して移転しました。現在の市役所の庁舎が竣工したのは、昭和63年のことです。
 昭和のはじめ、松屋百貨店と岩田屋百貨店が天神地区に開店しました。しかし、現在のように、天神が九州一の商業地区になるのは、昭和50年代以降、相次ぐ大型商業施設のオープンを経てからのことです。

昭和初期の天神町(てんじんのちょう)周辺 大崎周水堂発行の絵はがき
昭和初期の天神町(てんじんのちょう)周辺 大崎周水堂発行の絵はがき
平成17(2005)年3月撮影の天神周辺
平成17(2005)年3月撮影の天神周辺

福岡県庁:明治9年、福岡城内からこの場所に移転。この写真に写っているのは大正4年に落成し、昭和56年に県庁が東公園へ移転するまで使われていた庁舎。跡地はアクロス福岡、天神中央公園になっている。市役所の向かいにあるのは県庁の別館。
福岡市役所:明治22年の市制施行当時は、明治通りをはさんで県庁の向かい側あたりにあったが、その後、水鏡天満宮の東隣に移転。大正12年にこの場所に移転。現在の市役所(昭和63年竣工)も規模は大きくなっているが、この位置にある。
図書館:大正7年に開館した県立図書館。昭和20年の福岡大空襲で蔵書とともに焼失。
記念館と通俗博物館:御大典(大正天皇の即位)記念事業として建設され、大正6年に開館した福岡市の施設。記念館はホールとして使用され、戦後は、占領軍が「タロー劇場」として使用した。
日本生命九州支店:現在の赤煉瓦文化館(福岡市文学館)。明治42年に落成。設計は辰野金吾。国指定重要文化財。昭和47年から平成2年まで市立歴史資料館として使用された。
福岡日日新聞社:福岡日日新聞は西日本新聞の前身の一つ。この写真に写っているのは大正15年に竣工した社屋。現在の社屋は、昭和51年に同じ場所に竣工し、その際に、下層階に百貨店が入居し現在にいたる。
福助足袋の広告塔:大正12年に西大橋東詰に建設された。昭和9年、西大橋の架け替え工事にともない撤去。
水上公園:皇太子(後の昭和天皇)の御成婚記念事業で、大正13年に西大橋西詰に完成。

百道(ももち)海水浴場
百道(ももち)海水浴場

昔は海のなか-シーサイドももち-
 現在、福岡市博物館があるシーサイドももち地区は埋立地です。埋め立て以前には、大正7(1918)年に開設された百道海水浴場がありました。現在のよかトピア通り(博物館南側の道路)が、ほぼ埋め立て前の海岸線です。海水浴場は、昭和30年代頃までは、賑わっていたそうですが、水質汚染がすすみ、海水浴客は減っていったといいます。現在は、百道浜橋西詰(早良区西新2丁目)に建つ小さな碑だけが、この地に海水浴場があったことをわずかに伝えます。
 また、長谷川町子さんが『サザエさん』の構想を思いついたのが、この百道の海岸だったというエピソードがあります。『サザエさん』は、昭和21(1946)年から、福岡の新聞『夕刊フクニチ』で連載が始まりました(その後、朝日新聞で連載)。現在、西新1号緑地(福岡市早良区西新6丁目)に「サザエさん発案の地」という記念碑があります。
 埋め立てられた後、平成元(1989)年には、福岡市の市制百周年を記念してアジア・太平洋博覧会 福岡'89(通称:よかトピア)が、開催されました。福岡市博物館の建物は、博覧会当時、テーマ館として使用されました。福岡市博物館は、翌平成2年に開館し、再来年、開館20周年を迎えます。

(太田暁子)

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

Facata(博物館だより)

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