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No.381

美術・工芸展示室

染織シリーズ9 “幽玄”の光と色

平成23年2月22日(火)~4月17日(日)

2.単狩衣茶地雪輪文様
2.単狩衣茶地雪輪文様
1.厚板茶地破垣輪宝鶴菱文様
1.厚板茶地破垣輪宝鶴菱文様

染織シリーズは、福岡市博物館が所蔵するさまざまな染織品を紹介する展示です。今までは、江戸時代の女性の衣服を紹介することが多かったのですが、九回目を迎える今回は、能装束(のうしょうぞく)を紹介します。


◆「のうしょうぞく」って、なに?
 能装束は、能を演じるときに用いられる舞台衣裳のことです。わざわざ、「装束」という言葉をつかうのは能と狂言ならではのことで、同じ伝統芸能でも歌舞伎の衣裳にはつかいません。「装束」とは、非常に厳しく事細かいドレス・コードにのっとった、格式ある装いを意味する言葉です。その代表的な例は、衣冠束帯(いかんそくたい)やいわゆる十二単(じゅうにひとえ)に代表される平安朝以来の公家(くげ)の装いであり、いかに贅を尽くしたものであっても戦国大名の奇抜な陣中の装いや、武家の奥方さまやお姫さまの打掛(うちかけ)などは、「装束」とは呼びません。また、例えば、雛(ひな)人形のお雛さまやお内裏(だいり)さまの装いは「装束」と呼びますが、市松(いちまつ)人形の振袖(ふりそで)はいかに華やかであっても「装束」とは呼ばないのです。
 能の舞台衣裳に、高い格式をそなえることを示す「装束」という言葉をあてるのは、能という芸能自体が、江戸時代にたいへん格式張った面をもつものであったことに由来します。江戸時代には、能は、将軍の即位などの当時の一大セレモニーや、将軍家や大名家のお祝い事、大事なお客のおもてなしといったフォーマルな場で、催される芸能でした。城や屋敷には能を催すための舞台が必ずといっていいほど設けられ、舞台の上でつかう道具類についても、役者の家のみならず各大名家においても相当数をそろえなければなりませんでした。それゆえ、江戸時代には、たくさんの能装束があつらえられていたのです。


◆「のうしょうぞく」には、どんなものがあるの?
 能装束は、形の上から、大きく二つの形に分けることができます。「大袖(おおそで)」形と「小袖(こそで)」形です。
 大袖とは、袖口(そでぐち)が縫(ぬ)いつづられずに大きく開く衣服を指す言葉です。大袖形の能装束の多くは、肩から袖口までの距離がかなり広く、身に着けたときは手先まで隠れてしまいます。狩衣(かりぎぬ)(№2)や、長絹(ちょうけん)(№3)が、代表的な大袖形の装束です。幅広の袖をたぐったり、風をはらませたりすることで、身振りの優雅さや威厳をうまく演出できるというわけです。
 小袖とは、袖口が縫いつづられている袖をもつ衣服のことで、今でいう「キモノ」に似通っています。唐織(からおり)(№5)や厚板(あついた)(№1)が、代表的な小袖形の装束です。小袖形の装束は、大袖の装束の下に着込めたり、そのまま表着(おもてぎ)にしたりします。

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
休館日
毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
pressrelease

Facata(博物館だより)

福岡市博物館

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