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No.383

考古・民俗展示室

ふくおか発掘図鑑2

平成23年4月5日(火)~5月29日(日)

福岡市西区 千里遺跡 方形周溝遺構
福岡市西区
千里遺跡 方形周溝遺構
福岡市南区 老司卯内尺古墳群4号墳
福岡市南区
老司卯内尺古墳群4号墳

 伊都土地区画整理事業地内で発掘調査されている今宿五郎江(いましゅくごろうえ)遺跡では弥生時代後期の環濠(かんごう)から多くの木製品が出土しました。今宿五郎江遺跡は今宿平野の東側に位置し、発見された環濠は、集落の周囲を巡るように掘られ、直径200m以上の楕円形であったことが調査の成果から判明しています。今宿五郎江遺跡も弥生時代には伊都国の領域に含まれていたと考えられ、有力な集落のひとつであったことが推測できます。この環濠の中には多くの土器とともに木製品が投げ入れられていました。溝が埋まったあとが湿潤な環境であったため、多くの木製品は使われていた当時のままで残されたのです。丁寧な細工が施された短甲(たんこう)や漆塗りの容器からは、弥生時代の様式美と高い技術を見ることができます。この他には案(あん)と呼ばれる組合せ式の机が注目されます。数個体分の部材があり、博多区の雀居(ささい)遺跡からもほぼ同じデザインのものが発見されています。机であれば何かを書くためのものと考えてしまいますが、この案は天板に多くの傷があり、机として使われていたのかは不明です。
 JR筑肥(ちくひ)線周船寺(すせんじ)駅から南西約1㎞にある千里(せんり)遺跡では方形周溝遺構(ほうけいしゅうこういこう)が発見されました。溝が上から見て4角形にめぐる遺構で、主に弥生時代の終わり頃から古墳時代前期までつくられます。千里遺跡の遺構は古墳時代前期のもので、溝中からは甕などの土器が多く出土しましたが、溝の内側から何も見つかりませんでした。方形周溝遺構は墓である説、儀礼の場である説などいくつかの説があります。出土した甕は古墳時代前期に多い、器の厚みが非常に薄いタイプです。また甕の肩部につけられた菱形の点模様からは当時の人のデザイン意識が垣間見られます。
 南区老司(ろうじ)3丁目の丘陵上では卯内尺(うないじゃく)古墳群とよばれる5基の古墳(円墳)が発掘されています。この辺りは古墳の多い地域で、同じ丘陵上には大形前方後円墳である老司古墳や卯内尺古墳(現在は消滅)があります。円墳は2つの前方後円墳と同時ないし後続する古墳時代前期末~中期の群集墳(ぐんしゅうふん)であることが判りました。最も残りのよい4号墳は墳丘に二段葺石(ふきいし)を貼り、墳頂に大石で蓋をした石棺をもうけています。棺からは人骨が出土しました。1つの棺に4人を埋葬していたようです。
 福岡市内には本来もっと多数の古墳があったはずですが、多くは開発にともない破壊されています。姪浜(めいのはま)駅の南にかつてあった五島山(ごとうやま)古墳は古墳のあった丘陵全体が現在は消滅しています。五島山古墳の発掘は大正年間に行われ、その出土品は第2次大戦を越えて大切に守りつがれてきました。古墳そのものが消えてしまった現在、この出土品のみが五島山古墳を今に伝えてくれています。
 かつての平和台球場跡地では現在も鴻臚館(こうろかん)の発掘調査が継続して行われています。鴻臚館は、平安時代に外国からの来客を滞在させ接待するための施設で、国内に3箇所設けられました。筑紫の鴻臚館はこの中で唯一、発掘調査により全容が明らかにされている施設です。発掘調査の成果からは、鴻臚館が南北2つの施設群から構成されていることや、創建期から終焉を迎えるまでに大きく3時期に分けられる変遷があったことが判明しています。また、鴻臚館は博多湾を一望できる突き出した丘陵の先端部に位置しており、日本を訪れた外国の使節団が最初に目にする施設でした。国家の威容を示すため豪奢な外観であったと推測されていま。最新の成果からは、鴻臚館がある丘陵の東側は段造成され、正門が配置される構造であったことが分かりました。この正門から北側の船着き場や南側の大宰府へ向かう官道へと使節団が歩いていただろうと推定されています。
 福岡市内での発掘調査は開発にともなって今後も続けられる予定です。新たな事実が発見された時には皆さんにお知らせできればと考えています。
(池田祐司・本田浩二郎・赤坂亨)

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
※7月20日(土)~8月25日(日)の金、土、日と8月12日(月祝)~8月15日(木)は午後8時まで(入館は午後7時30分まで)
休館日
月曜日(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)、12月28日~1月4日
※ゴールデンウィーク(4月28日(日)~5月6日(月・振休))と、お盆の週(8月11日(日)~8月18日(日))は休まず開館します。
pressrelease

Facata(博物館だより)

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