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No.485

企画展示室3

時代を映す銅鏡2

平成29年1月17日(火)~平成29年4月2日(日)

日本での生産開始
三角縁画文帯五神四獣鏡(那珂八幡古墳出土)

三角縁画文帯五神四獣鏡
(那珂八幡古墳出土)

大陸から青銅器がもたらされてからほどなくして、日本でも青銅器の生産が始まりました。北部九州では、奴国(なこく)(現在の博多区から春日市周辺)の須玖(すぐ)遺跡群(現・春日市)が青銅器生産の中心でした。遺跡からは青銅器生産工房跡や鋳型(いがた)などの青銅器生産の痕跡(こんせき)が見つかっています。鏡の生産が本格的に始まるのは、弥生時代後期のこと。中国でつくられた鏡を模倣(もほう)して日本などでつくられた鏡は、仿製鏡(ぼうせいきょう)と呼ばれています。 南区の井尻(いじり)B遺跡で見つかった石製鋳型(写真3)は、片面には鏃(やじり)の型が、反対の面には鏡の型が彫り込まれています。また、城南区の飯倉(いいくら)D遺跡から見つかった石製鋳型も、片面には矛(ほこ)の型が、反対の面には鏡の型が彫り込まれています。両方とも黒く変化しており、実際に使用されたことがわかります。これらの鋳型でつくられた小型の仿製鏡は溝や井戸といった集落や流路(りゅうろ)などから見つかることもあります。銅鏡は、権威の象徴として使用されたほかにも、自然などに対する祭祀(さいし)に使われたようです。

政治的状況を反映
細線式獣帯鏡(城田遺跡出土)

細線式獣帯鏡
(城田遺跡出土)

五鈴鏡(夫婦塚古墳出土)

五鈴鏡
(夫婦塚古墳出土)

 古墳時代になると、畿内を中心として前方後円墳がつくられるようになります。弥生時代から引き続き、権威の象徴の意味を持っていた銅鏡は、当時のその土地の有力者のお墓である古墳へ副葬されました。福岡で最も早く造られた前方後円墳は、博多区にある那珂八幡(なかはちまん)古墳です。この古墳からは、三角縁画文帯五神四獣鏡(さんかくぶちがもんたいごしんしじゅうきょう)(写真4)が見つかりました。この鏡は、岡山県備前車塚(びぜんくるまづか)古墳や京都府椿井大塚山(つばいおおつかやま)古墳などの鏡と同じ鋳型を使ってつくられたもので、三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)と呼ばれる鏡の種類のひとつです。三角縁神獣鏡は、様々な文様の種類があり、その文様の構成から名前がつけられています。中央政権との政治的な関係性から分配されたと考えられています。
 一方で、西区の夫婦塚(めおとづか)古墳で見つかった、鈴がついた鏡(写真5)は、九州では珍しいものですが、当時の人々の様子をあらわした埴輪(はにわ)に見られるように、呪術の道具として使用されたと考えられています。また、銅鏡の形を真似してつくられた土製模造鏡(どせいもぞうきょう)もまた、祭祀などに使用されたと考えられています。弥生時代に比べて祭祀的な意味合いは薄くなったものの、依然として不思議な力が宿るものとして使用されていたのでしょう。
 前回の展示でご紹介したように、古墳時代が終わり、奈良・平安時代へと移り変わっても、人々の銅鏡へ対するあこがれはやむことはありませんでした。しかし、権威の象徴として使用された銅鏡は、やがて日本独自の文様を取り入れるなど人々の生活用具として定着するまでになります。形や用途、性格を変えながら現代まで伝わった鏡は、それぞれの時代の思想や政治的様相、人々の好みなど様々なものをまさに「映し出してきた」といえるでしょう。
(福薗美由紀)

《引用参考文献》
『新・奴国展』 福岡市博物館 2015

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