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ふくおかの歴史とくらし

―第13回新収蔵品展―


平成12年11月22日(水)~12月10日(日)
特別展示室A

開催にあたって

 福岡市博物館は、今年の10月18日で開館10周年を迎えました。この間、昭和58年に博物館建設準備室を発足して以来、数多くの方々のご協力により、考古・歴史・民俗・美術の各分野にわたって博物館資料の収集を続けて参りました。新収蔵品展は、このような収集活動の成果をご覧いただくもので、今回で13回目を迎えました。また、収集した資料数はすでに9万件を超えています。
 今回の新収蔵品展は、当館が平成9年度に寄贈・寄託・購入により収集した3,486件の資料の中から特に郷土福岡の歴史とくらしに関係の深いものを選び、1.古代・中世の福岡 2.江戸時代の福岡 3.近・現代の福岡と人々のくらし 4.美術工芸の4つのコーナーに分けて紹介します。幅広い時代といろいろな分野にわたるバラエティ豊かな展示資料によって、郷土福岡の歴史とくらしについてのご理解を深めていただき、福岡市博物館の新しいコレクションをお楽しみいただければ幸いです。
 最後になりましたが、本展覧会の開催にご協力をいただきました関係各位と貴重な資料をご寄贈、ご寄託いただきましたみなさまに、厚くお礼を申し上げます。

 

展示内容

1.古代・中世の福岡


濵田弘之資料 平瓦


庄崎家文書  原田種門継目安堵状

 ここでは、古代から中世の資料を展示しています。三宅廃寺周辺で採集された須恵器小壷や土師器坏、老司式軒丸瓦などは、古代の人々の暮らしや瓦を葺いた荘厳な寺院のようすを知る手がかりとなる資料です。
 中世の資料としては、蒙古襲来絵詞模本(もうこしゅうらいえことばもほん)や原田種門継目安堵状(はらだたねかどつぎめあんどじょう)、大友三非斎書状(おおともさんぴさいしょじょう)があります。蒙古襲来絵詞は、鎌倉時代の2度にわたる元軍襲来の様子を描いた絵巻物で、今回展示する模本は、江戸時代後期に模写されたものです。原本自体にも加筆があることが判っており、本来の絵詞を復元するのに貴重な資料です。
 原田種門継目安堵状は、高祖(たかす)城主の原田種門が天文(てんぶん)24年(1555)に庄崎九郎の家督相続を承認した書状で、庄崎家が原田氏の被官であったことを証明する資料です。大友三非斎書状は、宗麟が肥後国の国人小代氏の家中紛争に助言した天正六年(1588)の書状です。
 また、海底より発見された平瓦や唐津焼の陶器皿は、古代から近世の海上交易の一端を示す資料です。殊に「警固(けご)」銘の平瓦は、西区の斜目ヶ浦瓦窯(ななめがうらかわらがま)や平安京跡で出土しています。



黒田家下屋敷之図

2.江戸時代の福岡

 このコーナーでは、近世福岡の経済活動や文化の一端を紹介します。福岡藩にゆかりの資料としては、黒田家御下屋敷之図(くろだけおんしたやしきのず)があります。下屋敷は、福岡城三ノ丸に建てられた藩主の日常生活の場で、政務を執る表とプライベートな奥とが色分けされている貴重な資料です。「御触書写(おふれがきうつし)」や「寺書出(てらかきだし)」は、幕府や藩から出された触(ふれ)(法令や通達)や定書(さだめがき)などで、藩主の動向や寺院に対する支配の在り方を窺い知る資料です。
 文化一般を示すものとしては、筑後柳川藩の御船方(おふなかた)を勤めた松本家伝来の資料で、武家の表道具であった甲冑(かっちゅう)「六十四間星兜(ろくじゅうよんけんほしかぶと)・黄糸威胴丸具足(まいとおどしどうまるぐそく)」や刀銘「肥前忠吉(ひぜんただよし)」のほかに、華道に関する秘伝が書き写された「長崎流折留(おりどめ)」や司馬遷(しばせん)の史記の研究書である「史記評林(しきひょうりん)」、藩の儒学者亀井南冥(かめいなんめい)書の白雉(はくち)などを展示します。
 経済活動に関係した資料としては、筑前五ヶ浦廻船(ちくぜんごかうらかいせん)の資料があります。筑前五ヶ浦のひとつである宮浦(みやのうら)の津上家に残された廻船国久丸(くにひさまる)の船額文字金具(ふながくもじかなぐ)は、九百石船の船室に飾られたものであり、福岡市指定文化財の「武者絵馬清正虎退治(むしゃえまきよまさとらたいじ)」は、三所神社(さんじょじんじゃ)に廻船業の繁栄と航海安全を祈念して奉納されたものです。大歳(おおとし)神社に奉納された「五十集模型(いさばもけい)」は、博多湾の浦に住む人々の生活物資の交易に活躍した五百石船です。漁法や海女の生活を知る資料として鯨の解体図と各部が解説された絵図の「鯨捌方図(くじらさばきかたず)」やイルカ取りや鮪(まぐろ)漁、鯛(たい)漁などが描かれた「捕鯨図巻(ほげいずかん)」があります。
 「天下無双流縄術人形(てんかむそうりゅうじょうじゅつにんぎょう)」や「天下無双流縄術目録(てんかむそうりゅうじょうじゅつもくろく)」、「武道集(ぶどうしゅう)」は、捕縄術(ほじょうじゅつ)をはじめとする棒術(ぼうじゅつ)、居合(いあい)など江戸時代の古武術に関する研究資料です。
 また、「庄崎家文書(しょうざきけもんしょ)」は、怡土郡の庄崎家に伝わる中世から近代までの歴史資料です。江戸から明治時代には庄屋や村長を勤めた庄崎家をとうして中世から近代までの福岡市近郊の歴史を通観することができます。
 これらの資料によって、江戸時代の福岡の歴史や文化、経済など生活のさまざまな面が思い描かれることでしょう。


長崎より江戸まで海陸図巻
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pressrelease

休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

Facata(博物館だより)

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