平成16年12月17日(金)~平成17年1月30日(日)
開催にあたって
「長宜子孫」内行花文鏡 |
福岡市博物館では毎年、市民の皆様からの寄贈や寄託、また購入によって博物館資料を収集しています。考古、歴史、民俗、美術の各分野にわたる資料は、年度ごとに「新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし」と題して、展示しています。17回目となる今回は、平成13年度に収集しました約3、800点の中から、福岡とその周辺地域の歴史とくらし、文化に関する資料を選び、大陸文化と福岡、江戸時代の福岡と博多、江戸時代の美術・工芸、近現代の福岡の歴史、人々のくらしのかたち、に分けて展示します。この展示を通して、福岡の歴史と人々のくらしに関心を寄せていただくとともに、福岡市博物館の資料収集活動にご理解をいただければ幸いです。
大陸文化と福岡
茶漆塗橘前立烏帽子形兜 茶漆塗紺糸威胴丸具足 小具足付 |
福岡の地は古くから中国大陸や朝鮮半島に向かって開けた、対外交流の拠点のひとつでした。福岡市内から出土する考古資料は、まだ日本に文字がなかった先史・縄文・弥生時代から現代に至るまでの交流の歴史を物語っています。
特に常設展示室 ( 総合 ) に展示している国宝「漢委奴国王」金印は、中国後漢の皇帝から贈られたものとして、奴国(なこく) ( 福岡市周辺 ) と中国の関係を物語る資料です。今回新収蔵品展に展示される中国の戦国時代から後漢、三国時代に作られた 印章 は、金印を含む中国古代印章の型式や材質、その使用目的や方法などを、より深く理解するために重要な資料です。また前漢・後漢時代の 中国製の鏡 は、同様のものが北部九州の弥生時代の遺跡から出土することがありますが、破片であることが多く、これらのように完成品であるものは貴重です。
さらに中国の宋~元時代(1~14世紀)の 褐釉壺(かつゆうつぼ) は小型ですが、この種の壺には茶葉や香料が入れられたと考えられており、大陸からの交易船により博多に運ばれたものと考えられます。
福岡市博物館では、こうした実物資料とともに、歴史をより深く理解するために複製品 ( レプリカ ) を製作します。 井尻 B 遺跡出土鋳型複製 と、それから想定される 復元銅鏡 は、福岡市南区井尻から出土し、現在福岡市埋蔵文化財センターが所蔵する鏡の鋳型を複製し、さらにその鋳型から想定される鏡を復元したものです。これにより、鋳型のみでは理解しづらい鏡の全体像があきらかになりました。
筑前国福岡城周辺絵図 |