常設展示
常設展示リニューアル紹介動画
いよいよはじまる 2013.11.3 福岡市博物館の常設展示が生まれ変わります。
常設展示リニューアルについて
Ⅰ 常設展示室
- 1.新しい常設展示
- 常設展示室の面積:2,121m²
タイトル:「FUKUOKA アジアに生きた都市と人びと」 - 趣旨 :福岡は、弧を描く日本列島の西の端に位置し、ユーラシア大陸と朝鮮半島に近接しています。この地の人々は、古来、この国の誰もが知らなかった文化に最初に触れ、経験したことのない生産手段や経済活動を発展させ、遭遇したことのない脅威を克服し、豊かな都市を営みつづけてきました。福岡市博物館の常設展示は、アジア諸地域との人・もの・文化の交流がつくってきた地域の特色ある歴史と、そこに生きる人々のくらしを紹介します。
- 2.内容の構成
- AR=貸し出しタブレットをかざすと、そこに無い何かが画面に出てきます。(一部、未稼働):ナウマン象、甕棺発掘、遣唐使船、福博惣図、アロー号、博多風俗図、山笠
- インタラクティブ映像=画面をさわることで、映像が動いたり、新しい情報が映ったりします。:金印、蒙古襲来絵詩(原資料は宮内庁三の丸尚蔵館)
- コーナータイトル=各コーナーの始まりを示すタイトルです。
各コーナーの標題は、日本語のほか英語、ハングル、中国語(簡体字&繁体字)で表記しました。また、概説テキストは、英文も加えました。
円柱部分には、音声解説「えきけん先生となんめい君」があり、その時代のハイライトシーン紹介します。
テーブル部分には、さわれるフロアマップと各コーナーにふさわしいさわれるアイコンをつけました。 - 3.こんなところを変えました。
- (1)「金印」と「山笠」という「コア」を設けました
- 新しい常設展示の、始まりのコーナーは「金印」、締めくくりは「山笠」です。日本中の誰もが知る郷土の至宝を紹介するコーナーは、「見どころ・目玉」としての性格を強く打ち出しました。この2つのコーナーは、展示室平面上でも中央に位置し、この2つのコーナーを取り巻くように、各時代のコーナーが配されています。
- (2)「一筆書きの見学動線」にしました。
- 従来の見学動線は、現在の九州国立博物館の文化交流展示室のようにアイランド型のケースを点々と配置。いわば、好きなケースをチョイスして見学する「ビュッフェ型」展示でした。
今回のリニューアルでは、「一筆書きの見学動線」を採用し、歴史の起承転結を明快に伝える「フルコース型」展示にしました。 - (3)解説の多様性にこだわりました。
- 博物館の解説は、文字情報・視覚情報本位になりがちです。展示内容が多くの人々に伝わるよう、解説手法の多様性に留意しました。例えば、コーナーの標題などを多言語(英・ハングル・中国語)で表記。また、子どもも楽しめるよう、各コーナーの導入部で「えきけん先生&なんめい君」というキャラクターが、各時代のハイライト・シーンを掛け合いで紹介するミニ・シアターを設けました。これは、コーナーの音声解説も兼ねています。
Ⅱ 情報システム
- 1.アプリの供給
- タイトル:「てくてくミュージアム」
- 閲覧 :手持ちの情報端末(スマートフォンやタブレット)、貸し出し用の端末(タブレット)
- 内容 :City Wi-Fiやその他のインターネット回線を通じて常設展示の構成や、金印などおもな展示品の解説、博物館へのアクセス情報などを見ることがでます。今後のバージョンアップで英語、ハングル、中国語(簡体字&繁体字)版も追加します。さらに、博物館に来館すると、展示室内で博物館の収蔵品や市内文化財のデータベースにアクセスでき(日本語のみ)、知りたいことをその場で掘り下げることができます。
- 2.しはく観光コンシェルジェ―博物館データベースが提供する観光案内
- 趣旨 :上記アプリにおいて、ユーザーが端末の操作画面にある「よかねえ」ボタンをいくつか押すと、オリジナルの史跡・名所見学コースが端末に提供されます。学芸員のマニアックな職能が、ひと味ちがう観光案内に結びつきました。
- 3.AR (Augmented Reality―拡張現実)コンテンツ
- タイトル:「てくてくミュージアム +(プラス)」
- 閲覧 :貸し出し用の端末(タブレット)
- 内容 :タブレットを展示物や壁面にかざすと、そこには無い「何か」が画面上に登場します。遊び心に満ちたコンテンツです。端的な面白さを表しつつ、史料・資料の本質もしっかり伝えています。
Ⅲ ユニバーサル・デザインへの取り組み
趣旨 :福岡でくらす、福岡をおとずれる、さまざまな個性をもつ人々が、みんな、福岡市博物館で心地よく安心して、それぞれの学びを楽しむことが出来るように ― 福岡市博物館は、展示・解説の仕方、施設・設備、サービスのあり方に、出来るだけユニバーサル・デザインを取り入れることを目指しました。
- 1.展示の仕方
- これまで「博物館での学び・楽しみ」は、展示品の形、色、大きさをガラス越しに視覚でとらえることが、大部分を占めていました。福岡市博物館は、「博物館での学び・楽しみ」に、展示品に触ったり、音声で聞いたり、といった要素を増やしました。
- 2.館内の施設・設備
- 平成23年には授乳室を設置。また、特別展示室近くの主催者控え室用の部屋に、救護スペースを設けました。平成25年は、トイレの改修工事を行い、オストメイト(人工肛門・人工膀胱造設者)対応や音声ガイド付きのトイレを館内に整備します。
- 3.アイデアとマン・パワー
- ①サイン体系の見直し …必要な人に必要な設備を明確に伝えるため、標識(サイン)やリーフレットのあり方を検討しました。階段が大変な人がエレベータの位置を、小さい子連れの人が授乳室の存在を、体調を崩した人が救護室の用意があることをすぐ分かるようにします。識字が困難な人、日本語がよく分からない人のために、ピクトグラム(絵文字)も多用しました。
- ② さわれるガイドブック(フロアマップ)…サイン計画の一環として、図形が浮き上がり、点字の説明のついた、ガイド(フロアマップ)をつくりました。これを持つ人が階段など危険な場所にいるとき、また、緊急の災害の際、周囲の声をかけてくれるよう目印の役割もはたします。
- ③ ことばの地図…博物館のさまざまな設備やサービスの位置を伝える「ことばの地図」(テキストデータ)をつくりました。ホームページからダウンロード出来るようにします。
- ④ 利用者・スタッフ・制作者のコミュニケーション…標識やマップなどのツール(「道具」)は、利用者の検証を得て制作しました。ツール導入時には、制作者と職員、博物館の接遇スタッフが必ずミーティングを行い、道具の「穴」を人の気遣いでフォローできるよう、意志を統一します。また、そのフォローがアイテム制作にフィードバックしていく仕組みをつくります。
Ⅳ 博物館の新しい顔づくり
趣旨 :福岡市博物館の常設展示リニューアルにあわせて、ロゴタイプとシンボルマークを制定しました。開館後23年を経過した博物館は、平成24年、経済観光文化局へ移管され、新しいニーズを意識するようになりました。また、常設展示のリニューアルも実施しました。いま、博物館は、新しいステージを迎えているのです。この期にロゴタイプを改めて制定、また、シンボルマークを新たに制定することで、博物館の存在感と発信力のパワーアップをはかることにしました。
- 【新しいロゴタイプとシンボルマーク(基本形】
- 福岡市博物館のシンボルマークは、博物館を南側の正面から見たときに、強く印象に残る3つのアーチ、そして、福岡市の文化財を代表する国宝 金印「漢委奴国王」のかたちをもとにデザインしました。マークのアーチ部分には、歴史と未来を結び、くらしと風土をつなぐ架け橋としての意味も込めています。また、マークの右下の矩形部分は、この地に流れてきた時間の堆積が地域の将来像を育む土壌となるという意味を込めています。 ロゴタイプは、漢字文化圏のなかで知識と思想の広まりに大きな役割を果たした活字・明朝体をもとに、福岡という都市の空気にふさわしい活気や軽やかさが感じられるようにデザインしました。