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No.063

黒田記念室

博多祗園山笠展5

平成6年6月7日(火)~7月17日(日)

明治期の博多山笠
明治期の博多山笠
博多祗園山笠

博多祗園山笠(はかたぎおんやまかさ)について

 博多祗園山笠は、商人の町博多に伝わる最大規模の祭礼で、各地の祗園祭と同じ祗園神(博多では櫛田神社)への奉納行事である。祗園の神とは、本来仏教の牛頭(ごず)天王(祗園精舎の守護神、農耕・疫病の神)のことである。明治中期までは旧暦の6月1日から15日まで行われた。起源については諸説がある。鎌倉時代に、承天寺を開いた聖一国師(しょういちこくし)が、流行していた疫病(えきびょう)退散のため博多津中で施餓鬼棚(せがきだな)を若者に担ぎ回らせ、その棚の上から法水を撒いたことにはじまるという鋭とか、また室町時代に博多を領していた中国地方の大名である大内義隆(おおうちよしたか)が、京都の祗園祭を移したとかいう説があるが、いまだ定説はない。

 豊臣秀吉の博多再興により博多の町に七流(ななながれ)(区画)が形成された。この流(ながれ)が山笠作りの単位となり、江戸時代を通じて毎年6本の山が建てられ、残り一流が能楽を行う仕法(七流の輪番制度)となっていた。明治期になって電線架設(とくに明治43(1910)年の市内電車の開通)のため、それまでの高さ約15メートルの舁山(かきやま)が担げなくなり、据えたままの飾山と舁山とに分離し現在に至っている。

博多祗園山笠巡行図屏風(6曲1隻)

 この屏風は、延宝2(1674)年に西町流の蔵本番が建てた舁山(かきやま)を描いたもの。この山は、旗さし山で、室町時代までは主流であった。現在の山笠に比べると、人形の数も少なく簡素だが、頂に立てた数十本の旗が勇しく感じられる。

 山笠の組み建てから、追山(おいやま)の日に博多市中をめぐっている様子などが詳しく描かれている。現存する山笠図屏風としては最古のものである。

博多祗園山笠巡行図屏風
博多祗園山笠巡行図屏風

鉄砲袋 博多祗園山笠図(嘉永7年)
鉄砲袋
当番法被
当番法被 博多祗園山笠図(嘉永7年)

博多祗園山笠図

 山笠図は、山笠を専門に描いた町絵師である三苫(みとま)氏によって描かれた。三苫氏は代々惣吉(そうきち)を名乗り、初代(1727~1803、号主清)が、初めて山笠図を描いたのは宝暦2(1752)年で、2代(1763~1824)、3代(1803~1879、号英之)、4代(1833~1887、号主清)と続くが本絡的に絵師として活躍したのは、3、4代であった。

 彩色の山笠図は、旧暦3月中旬までに仕上げられ、博多の年行司を通じて藩主黒田氏に納められたらしい。

鉄砲袋

 追山のとき、台上(だいあが)りが山笠の進行を舁手(かきて)に指示するのに用いる。麦藁を芯材にして赤木綿の袋で覆ったもの。

山笠法被

 当番法被と水法被とがある。当番法被は、山笠の当番町を務める際に新調されるので、この名が生じた。幾何学文様に文字をあしらった模様で各町を表わす。水法被は、実際に山舁(やまかき)のとき着用する。丈の短い水法被は勢い水をかけられてももたつくことはない。

子供法被 落石栄吉『博多祗園山笠史談』より
子供法被
化粧まわし
化粧まわし
取締手拭
取締手拭
赤手拭
赤手拭 落石栄吉『博多祗園山笠史談』より

子供山笠法被と化粧まわし

 子供の成育を祈って、母親が法被を作る。法被の背中には、犬のお守が付けてある。

山笠用手拭

 博多山笠の役員は、6種の色分け手拭で役柄を表わし、手拭には、戦後から櫛田神社の御神紋と年号が付されている。

山笠の構造

 山笠の台は釘を使用しない。四本の台脚(だいあし)の上部と、対角側の脚の下部との間には、藁縄が幾重にも巻かれている。その後、鉄沓、シオリ、鼻藁等を付し、矢切、キャタツなどが完成した山笠を素山といい、何時でも山の飾り付けができる状態となる(名称は図を参照)。

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