平成27年8月18日(火)~10月18日(日)
第二室 学校アラカルト
続いて、第二室では校章や校歌、年間行事などの学校にまつわる様々なテーマについて展示します。ここでは校章と校歌に絞って紹介します。
校章の系統
福岡市立小学校の代表的な校章のパターン |
上の図は福岡市立の小学校の校章の代表的なデザイン例を6種類に分類したものです。1の旭日章(きょくじつしょう)系は朝日の光が放射状に広がる様子を意匠にしたものですが、創立百年以上の古い学校によく見られる校章です。なお、上に示した5例は全て創立時には福岡市に属していなかった地域の学校です。2の市章系は最も多い校章のパターンです。福岡市の市章はカタカナのフを九つならべて「フク」を図案化したもので、この中央に校名を入れるのが一般的です。3のサクラ系も市章系に次いで多い意匠です。古い学校から戦後に開校した学校まで幅広く使わる傾向があります。4の椎葉(しいば)系は香椎宮(かしいぐう)周辺に位置する学校の校章です。香椎という地名は亡くなった仲哀(ちゅうあい)天皇の香りが椎の木から、漂ってきたという逸話に由来しています。5の波系は博多湾岸に位置している学校の校章です。市章系・サクラ系と波系が合体したデザインのものも見られます。最後の6の平成系は近年開校した学校の校章です。仮名を躍動感あふれる形で図案化し、アルファベットを用いる傾向があります。
このように校章には時代による違いや地域による違いなどが見られ、それぞれの学校の象徴となっています。
校歌と地名
校歌の歌詞にはその校区に関わりのある著名な地区や史跡名が使われています。福岡市立の小学校校歌で最も多く使われている地名は福岡県と佐賀県の境にある「脊振山(せふりさん)」です。統計を取った140の校歌の内45校がこの山を歌詞に採用していました。続いては「玄海・玄界(げんかい)・玄界灘(なだ)」が合計で40、3番目は「筑紫」で「筑紫野」や「筑紫路」など35を数えます。以下、「室見川(むろみがわ)」が19、「油山(あぶらやま)」が18と続きます。比較的広範囲にわたって見ることが出来る場所の使用頻度が高くなっているようです。
福岡市立小学校の校歌に登場する地名 |
数は多くありませんが福岡らしい歴史用語も見られました。例えば、弥生(やよい)時代の遺跡が多数あることを示す「弥生の文化」、元寇(げんこう)を示す「石塁(せきるい)」や「弘安(こうあん)」、アジアとの交易を行っていたことを示す「唐土(もろこし)」や「高麗(こま)びと」などの単語です。
校歌の歌詞を調べると、子どもたちへ何を伝えていくべきかという地域の人々の思いが読み取れて興味深いです。
(宮野弘樹・野島義敬)
ご協力頂いた団体(敬称略・五十音順)
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