平成28年2月16日(火)~平成28年4月17日(日)
―狩野派の山水―
④山水図(さんすいず) 1幅
絹本着色 93.0×62.9
石里洞秀 江戸時代
⑤夏冬山水図(かとうさんすいず) 双幅
紙本墨画 94.9×33.7(各)
石里洞秀 江戸時代
いずれも福岡藩のお抱え絵師で駿河台狩野家の門人であった石里洞秀(いしざととうしゅう)(?~1827)が描いた山水図です。④はかっちりとした丁寧な筆使いで自然景を描いており、狩野派の画法の基本であった真体(しんたい)・行体(ぎょうたい)・草体(そうたい)のうち真体の山水図と言えるものです。いっぽう、⑤は破墨法(はぼくほう)(墨の濃淡で立体感をあらわす水墨画の技法)を用いた草体の山水図で、モノトーン特有の無限の階調が画面に深い奥行きと味わいを生んでいます。
―物語と山水―
⑥山水図屏風(さんすいずびょうぶ) 6曲1双
紙本墨画淡彩 163.7×226.0(各)
村田東圃 江戸時代
⑤夏冬山水図(かとうさんすいず) 双幅
紙本墨画 94.9×33.7(各)
石里洞秀 江戸時代
個人蔵(寄託)
中国・唐時代の詩人、白居易(はくきょい)の「琵琶行(びわこう)」を題材とした山水図です。中央の大河(潯陽江(じんようこう))を挟んで、右隻には地方の役人に左遷され不遇を囲っていた白居易の舟、左隻には琵琶を弾く女性が乗った粗末な舟が描かれています。女性は零落しているとはいえかつて都で名を馳せた琵琶の名手で、白居易は彼女の奏でる悲しくも見事な音色に激しく心を動かされて「琵琶行」を作った―という故事が茫漠とした山水表現によって詩情豊かに描き出されています。作者は江戸後期に活躍した「筑前四大画家」のひとりで、山水画を得意とした村田東圃(むらたとうほ)(1802~1865)です。