江戸時代、遊びとしての釣りがかたちを整えはじめます。今に伝わる最古の釣り指南書『何羨録』をはじめ、様々な絵画や文献に残された釣り人の姿を紹介していきます。
<主な展示品>
400年前の京の釣り 狩野孝信「洛中洛外図屏風」《重要文化財》(写真)
日本最初の釣り指南書 津軽采女「何羨録」
北斎が描く釣り 葛飾北斎「絵本墨田川両岸一覧」
福岡市博物館蔵(部分)(展示期間:9月17日〜10月16日)
釣りは、社会的にも地理的にも多様な側面を持ち、特色ある文化を形づくってきました。武士の文化として発達し、庶民へと、そして各地へと広がっていった様々な釣りの姿を紹介します。
<主な展示品>
姫様の釣り大会 笠原耨庵「宣寿院様在所御下之節後遊覧毎所真写」
庄内藩の釣り 作者不詳「庄内磯釣りの図」(写真)
下級武士が見た江戸時代の釣り 山本政恒「政恒一代記」
鶴岡市郷土資料館蔵(部分)
魚食の民・日本人は古来、魚に対して深い関心を示してきました。博物学的な視点からさまざまな「魚譜」がつくられ、釣魚の記録として、世界的にも独特な「魚拓」文化が生み出されました。
<主な展示品>
今に続く博物画の伝統 有田繁ほか「日本水産魚譜」原図
日本最古の魚拓 林正中「於錦糸堀御獲鮒之図」(写真)
長大なる記録絵巻 氏家直綱「鯛鱸獲摺形」
鶴岡市郷土資料館蔵
近代になると、釣りの趣味化が急速に進んでいきます。富裕層の中には、新たな釣りの楽しみを開拓し、後の世代に大きな影響を与えた人びとも現れました。
<主な展示品>
釣り人姿の岡倉天心 平櫛田中「五浦釣人」
道具道楽の粋 銀座東作コレクション「鱸釣り道具」(写真)
彫塑の巨匠と竿の名人 朝倉文夫「竿忠の像」
銀座東作蔵
釣道楽は、道具道楽でもあります。道具は技術と相まって、魚種、地域、季節によって変化する自然状況に対応し、また釣り人の美意識にあわせて洗練されてきました。
<主な展示品>
明治初期の釣針大全集 中村利吉「釣鉤図譜」
道具から工芸へ 漆塗浮子(写真)
世界初のスピニングリール「イリングワース-1」
個人蔵
寡黙な漁民に対して、釣り人はいたって饒舌です。古い時代から、釣りをめぐる大量の文章や情報が世に流通し、その語りは釣り人の心を騒がせ続けてきました。
<主な展示品>
釣ルポルタージュの金字塔 開高健「オーパ!」自筆原稿
不滅の釣り漫画 矢口高雄「釣りキチ三平」原画
釣りの瞬間を切り取る 永田一脩「ハヤを釣る宇野重吉」(写真)
個人蔵
[メインイメージ]絵葉書「早鞆海峡(門司)」(個人蔵)
[サイドイメージ]<左>日本水産魚譜原図「ヤマメ」「コブダイ(雄成魚)」「カワハギ」「キュウセン(雌)」「ヤマメ」「キュウセン(雄)」「カワハギ」「コブダイ(若魚)」(日本水産株式会社蔵)/小継真鮒竿(銀座東作蔵)/鱸手釣り用糸巻(朝倉彫塑館蔵)/釣鉤箱(個人蔵)
<右>日本水産魚譜原図「カワハギ」「イシダイ」「スズキ」「キュウセン(雄)」「カワハギ」「ナマズ」「スズキ」「キュウセン(雄)」(日本水産株式会社蔵)/鱸手釣り用糸巻(朝倉彫塑館蔵)/浅瀬の小鮎釣(個人蔵)/鱸釣り道具(銀座東作蔵)