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特別展示

特別展示室A

第21回 新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし

平成21年3月4日(水)~3月22日(日)

二、歴史(近世) 福岡藩の時代
 歴史の分野では、まず福岡藩主黒田家とその家臣に関する資料を中心に紹介します。

9 梨子地唐草蒔絵女乗物
9 梨子地唐草蒔絵女乗物

 「梨子地唐草蒔絵女乗物(なしじからくさまきえおんなのりもの)」(9)は、豪華な漆塗りの女性用駕籠(かご)で、正面に黒田家の石餅紋(こく もちもん)、背面に藤巴紋(ふじどもえもん)の飾り金具があり、黒田家に関係する女性の所用と考えられます。同じく「黒漆塗松竹梅蒔絵女乗物(くろうるしぬりしょうちくばいまきえおんなのりもの)」(10)は、秋月藩九代藩主黒田長韶(ながつぐ)夫人の所用と伝えられ、扉の下部には螺鈿(らでん)の装飾が施されています。

11 黒田二十四騎図
11 黒田二十四騎図

 「黒田二十四騎図(くろだにじゅうよんきず)」(11)は、福岡藩草創期を支えた重臣黒田二十四騎を描いたもので、鎧(よろい)などの表現から、いまだ十分な考証がなされずに描かれた初期の作品と推測されます。「荒巻家系図(あらまきけけいず)」(23)は、もと豊前国築城(ちくじょう)郡築城城主で、黒田孝高(よしたか:如水(じょすい))が天正15年(1587)に豊前に入った際に家臣となった荒巻家の系図です。
 福岡藩士の大野忠右衛門(おおのちゅうえもん)家に関する資料も今回新たに加わりました。幕末の当主で慶応3年(1867)に京都在勤を命じられた大野貞固(さだかた)の日記(30・31)には、鳥羽(とば)・伏見(ふしみ)の戦いの様子が記されています。また、支藩の秋月藩(あきづきはん)に仕えた松村家の資料には、松村家初代の勝成(かつなり)が島原の陣(1637~38)で使用した「槍(やり)」(20)が含まれています。勝成はこの戦いで敵陣に味方の纏(まとい:旗印)を打ち立てる手柄を立てましたが、その後鉄砲で撃たれて討ち死にしています。
 藩士以外では福岡藩に仕えた本道医(ほんどうい:内科医)上村家(かみむらけ)の「上村尚庵像(かみむらしょうあんぞう)」(35)と子息の「上村米山像(かみむらべいざんぞう)」(36)が注目されます。尚庵は七代藩主黒田治之(はるゆき)夫人の侍医を勤め、文化13年(1816)に藍島(あいのしま)沖で朝鮮商船が漂流した際に病人を治療しています。

45 藩礼
45 藩礼

 志摩郡高田村(たかたむら:現前原市)の庄屋を勤めた是松家(これまつけ)の資料「志摩郡高田村明細帳(しまぐんたかたむらめいさいちょう)」(41)も重要です。明細帳は村の位置や年貢高、家数などを記したもので、江戸時代後期の高田村の状況が窺われます。なお、是松氏は文化9年(1812)に、公儀天文方(こうぎ てんもんかた)の伊能忠敬(いのうただたか)一行が高田村を測量した際にも協力しています。
 このほか、福岡藩が発行した「藩札(はんさつ)」(45)や福岡の農学者宮崎安貞(みやざきやすさだ:1623~1697)による日本最初の本格的な農業書「農業全書(のうぎょうぜんしょ)」(48)、江戸時代の百科事典「江戸大節用海内蔵(えどだいせつようかいだいくら)」(50)なども展示します。


二、歴史(近現代1)福岡の近代化
 近現代の分野からは、明治から昭和にかけて、急速に変化した人々のくらしに関する資料をご紹介します。
 「地券(ちけん)」(57)は、明治12年(1879)に福岡県が土地所有者に発行した土地所有権を証明する書類で、明治22年(1889)に土地台帳制度が始まるまで用いられていたものです。
 明治時代以降、殖産興業を目的にしたさまざまな博覧会や共進会が全国で開かれました。「褒賞授与証(ほうしょうじゅよしょう)」(58)は明治20年(1887)に福岡・中洲で開催された第5回九州沖縄八県連合共進会の表彰状で、博多の呉服商、真鍋市五郎(まなべいちごろう)に授与されたものです。
 変わりゆく福岡の様子を伝える資料も残されています。「早良郡役所廃庁記念火鉢(さわらぐんやくしょはいちょうきねんひばち)」(64)は、大正15年(1926)に廃止された、早良郡役所の廃庁記念の品です。また、博多の百貨店玉屋(たまや)呉服店が発行した絵はがき(72)には、玉屋からみた昭和初期の博多の町並みが写されています。このほか、昭和56年(1981)製造の「電子制御写真植字機(でんしせいぎょしゃしんしょくじき:写植機(しゃしょくき))」(77)は、最近まで使用されていたもので、印刷製版技術の進歩を物語る産業資料です。

64 早良郡役所廃庁記念火鉢、77 電子制御写真植字機
64 早良郡役所廃庁記念火鉢 77 電子制御写真植字機
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9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
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休館日
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