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特別展示

特別展示室A

第21回 新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし

平成21年3月4日(水)~3月22日(日)

四、歴史(近現代2) 戦争の記憶
 近代の歴史に暗い影を落とした戦争に関する資料もご紹介します。
 海軍機関学校は、舞鶴(まいづる:京都府)に置かれた機関科将校を養成するための海軍の学校で、今回はその生徒であった人物の「採用予定通知書(さいようよていつうちしょ)」(78)や「アルバム」(81)を展示します。また第二次大戦で戦った日本海軍の潜水艦「伊号(いごう)402」の艦内で用いられていた「印鑑入れ(いんかんいれ)」(83)や、海軍の少年飛行兵の養成に用いられた教科書「乙種飛行予科練習生用教科書(おつしゅひこうよかれんしゅうせいようきょうかしょ)」(86)なども展示します。

90 第一二四連隊徽章
90 第一二四連隊徽章

 戦時資料の中には戦没者の遺品も含まれています。「戦地(せんち)からの手紙」(89)は、昭和19年にニューギニアで戦死した寄贈者の亡夫が、中国北部の戦線にいた頃、妻に送った手紙です。また、太平洋の激戦地ガダルカナルで戦った福岡出身部隊の兵隊が着けていた「第124連隊徽章(だい124れんたいきしょう)」(90)は、黒田長政(ながまさ)の大水牛脇立兜(だいすいぎゅうわきだてかぶと)の形に「伏敵(ふくてき)」の文字を入れたもので、遺骨収集団が拾得しました。
 戦争は「銃後(じゅうご)」と呼ばれた一般市民の生活にも大きな影響を与えました。「燈火管制用電球(とうかかんせいようでんきゅう)」(93)は戦時中に製造された電球で、夜間の空襲に備えて戸外に光が漏れるのを防ぐため側面が黒く塗られています。「レコード集(しゅう)(勝利の記録(しょうりのきろく))」(95)は、昭和18年(1943)の陸軍記念日に発売された、戦意高揚のための音楽集です。また、戦時下の政府が戦費調達のため、国債(こくさい)購入を呼びかけたポスター「体力(たいりょく)!気力(きりょく)!貯蓄力(ちょちくりょく)!」(97)なども市民生活と関係する戦時資料です。


五、美術 福岡の美術・工芸

106 筑前国宗像郡本木村化物退治図絵(部分)
106 筑前国宗像郡本木村化物退治図絵(部分)

 美術の分野からは、近世の絵画を中心にご紹介します。
 「寿老図(じゅろうず)」(102)は福岡藩御用絵師の狩野昌運(かのうしょううん:1637~1702)が描いた作品で、寿老人の描き方から、黒田家伝来の雪舟(せっしゅう)筆の同名作品を手本にしたと考えられます。「西王母図(せいおうぼず)」(104)は筑前四大画家のひとり斎藤秋圃(さいとうしゅうほ:1769~1859)の作品で、円山応挙(まるやまおうきょ)の美人画の影響が窺えます。「筑前国宗像郡本木村化物退治図絵(ちくぜんのくにむなかたぐんもときむらばけものたいじずえ)」(106)は、宗像郡本木村(現福津市)で江戸時代中期におこった化け物騒動を題材にしたもので、狸に似た化け物と人間とのやりとりがユーモラスに描かれています。
 今回は能楽で用いられる扇(中啓(ちゅうけい))もいくつか展示します。中でも女性を主人公とする能に用いられる「妻紅明皇貴妃花合戦(つまべにみんこうきひはなかっせん)」(112)は、中国の玄宗(げんそう)皇帝と楊貴妃(ようきひ)の宮廷をモチーフにした華やかな作品です。
 このほか、工芸の分野では昭和を代表する博多人形師、原田嘉平(はらだかへい:1894~1982)の作品「親(おや)とろ子(こ)とろ」(115)を展示します。


六、民俗 マチ・ムラ・ウラのくらし
 民俗の分野からは、マチ(都市)、ムラ(農村)、ウラ(漁村)に住む人々のくらしに関する資料をご紹介します。

117・118 張り子の虎・同型
117・118 張り子の虎・同型

 「張り子の虎(はりこのとら)」(117)は、季節の行事に使う様々な品物を作る際物師(きわものし)、井上行義(いのうえいくよし)氏の手になるものです。際物師はこのほか提灯の絵付けや、博多山笠の屋形飾りの制作などもおこなうなど、福岡・博多の生活にはなくてはならない存在でした。また、早良区西新(にしじん)の商家に伝えられた「松竹梅図嫁入風呂敷(しょうちくばいずよめいりふろしき)」(123)は婚礼の際に用いられた風呂敷で、嫁方の家紋が染め抜かれ、ヨメゴブロシキと呼ばれています。
 福岡市西浦(にしのうら)では、かつて正月10日に恵比須(えびす)祭りがおこなわれていました。「西浦十日恵比須の衣装(にしのうらとおかえびすのいしょう)」(128)は、この祭りに参加する、漁師を志す数え16歳の青年たちが着ていたものです。「ドンザ」(131)は福岡市西区宮浦(みやのうら:唐泊(からどまり))で漁師の仕事着として使われていた刺し子の着物です。また、「ドンザ凧(だこ)」(132)は海難者の霊を弔うために揚げるドンザ形の凧で、背に戒名(かいみょう)や梵字(ぼんじ)が書かれています。
 このほか、福岡市西区大原(おおばる)で、儀式の品々を運ぶのに使われた「メゴ」(137)と呼ばれる竹籠や、長崎県対馬で使用された女性の労働着「ハギトージン」(139)、壱岐の女性が着用した前掛け「ミノメーカケ」(141)なども展示します。

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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