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No.110

歴史展示室

教科書のあゆみ2-教科書挿し絵の世界-

平成9年4月8日(火)~5月18日(日)

 春になりました。新学期を迎え、新しい教室、新しいクラスメートにと、期待に胸ふくらむ季節です。その手には新しい教科書があることでしょう。

 本展ではいろいろな教科書の挿し絵の部分を展示します。

 小学校1年生の教科書の最初のページは、まさに学校生活の1ページ目です。この1ページにその時代の特色があらわれています。明治時代に初めて小学校がつくられた時、小学校は近代の「日本国民」をつくる大切な機関でした。『小学読本』は当時の最も基礎的な実用の書でもあったのです。

 その後教科も徐々に分化し、内容も専門的になりましたが、教科書が私たちをとりまく社会の様々な面を反映していることは変わりません。

 教科書の挿し絵、その面白さをどうぞ御覧下さい。

「サクラ(桜)」で始まる国語の教科書(出品資料目録7)
「サクラ(桜)」で始まる国語の教科書(出品資料目録7)

はじめのページ

 就学したばかりの1年生にとって教科書の第1ページは、それ以後の長い学校生活の、文字どおり「第1ページ」である。絵を主体にし、わずかな字数で始まるそのページには、小学生が最初に学ぶべき事柄が表現されている。その内容は、背景となる時代によって違っている。ここでは明治時代から昭和時代までの、1年生の教科書のはじめの部分を集めてみた。

小学読本-国語を超えた国語の教科書

 『小学読本』と題されたのは、ほぼ明治期を通して使われた国語の教科書である。それは明治6年に文部省が初めて編纂した教科書に始まる。しかし実際には国語というよりも、社会科や理科に該当するような内容も記載されていた。教科・科目があまり細かく分化していなかった明治初期には、この1冊で小学校教育の多くの部分をカバーしていたといえる。

世界情勢を知る

 教科書には、大なり小なり、啓発的な役割(一般庶民の子弟に知識を授けるという役割)が期待されていた。海外に渡航する日本人はまだ少なかったが、世界の情勢を知ることができるよう、教科書の説明・設問が工夫された。その役割は太平洋戦争終結直後の、混乱した時代の教科書には一層強く求められた。

「農具」の挿し絵(出品資料目録28)
「農具」の挿し絵(出品資料目録28)

実用を学ぶ

 明治初期には欧米書を翻訳した教科書が使われ、文明開化を急ぐあまり、庶民の日常生活からはかけ離れたものが多かったが、徐々に教科書の内容が整理され、児童にとって身近な教材が採用されるようになった。教科書は生活に密着した、「実用」を学ぶことができるものになったのである。

理数科-自然の法則を知る

 明治時代にすでに得られていた自然科学の知識は、理数科目の教科書の内容に反映された。「算術(算数)」では数の数え方や計算だけでなく、統計や図形についても学んだ。理科では生物・物理・化学・地学の基礎的知識を持つことが求められた。「大和魂」「日本精神」などが叫ばれた時にも、これらは「科学に裏打ちされている」として、理科や算術が重視された。


「文様」の挿し絵(出品資料目録70)
「文様」の挿し絵(出品資料目録70)

自然を写し、デザインする

 自然の情景は児童にとって最も身近なもののひとつである。図画では自然を正確に写生することが重視されており、理科学習による知識がその正確さを支えた。立体の存在感や風景の奥行きを表現するために遠近法が紹介され、構図についても教育されていた。また早くから文様化やデザインについてもとりあげられていた。

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
7月22日から8月27日のうちの金・土・日ならびに8月14日、15日は午後8時まで開館(入場は午後7時30分まで)
休館日
毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
8月14日、15日は開館、8月16日は休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
pressrelease

Facata(博物館だより)

福岡市博物館

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