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No.413

企画展示室3

館蔵名品で見る郷土の人と文化1-女性文化人の系譜-

平成25年1月5日(土) ~

六道輪廻図 須弥山図
六道輪廻図 須弥山図

5、さまざまな法具 一式
(1) 僧具(そうぐ)
 僧侶が生活のなかで日常的に用いる机や椅子、衣服、食器などを僧具と呼びます。チベット寺院の机や倚子は赤色を基調とした極彩色のもので、持ち運びしやすいように折り畳み式になっています。
 机の上には経典を読むための経典立てのほか、茶碗、木皿などの飲食具(おんじきぐ)も置かれます。茶碗は僧侶がバター茶を飲むために、木皿は主食の麦こがし(ツァンパ)を食べるために用いられます。
(2) 梵音具(ぼんおんぐ)
 チベット寺院では日常の生活や法会(ほうえ)など様々な場面で梵音具(楽器)が用いられます。法会の開始を多くの人々に知らせる大笛(おおぶえ)(トゥンチェン)や読経(どきょう)の合間に吹き鳴らす中笛(ちゅうぶえ)(ギャリン)、シンバルに似た▲(バツ)(ブプチェル)、ダマルと呼ばれるでんでん太鼓などは最も代表的で、とても賑やかな音が出ます。いっぽう人間の大腿骨で作った骨笛や頭蓋骨で作ったダマル太鼓(チャンティ)は密教の特別な儀式で用いられます。
▲は、かねへん+友

骨笛(カンリン)
骨笛(カンリン)
供物マンダラ
供物マンダラ

(3) 供養具(くようぐ)
 燭台や香炉など、本尊や仏を供養するために用いられる法具です。供物壇(くもつだん)(トル・ドム)は供物を置く階段状の台で、トルマと呼ばれる米粉で作った供物や、穀物で須弥山をあらわした供物マンダラ(全世界を仏に捧げるという意味が込められている)などが並べられます。

6、ゾクチェンの祖師 五幅 布地・彩色 掛幅装 76×50㎝
 チベット仏教ニンマ派では、最も重要な教えを「ゾクチェン」(大いなる完成)と呼びます。「ゾクチェンの祖師」は法身普賢(ほっしんふげん)(クントゥ・サンポ)から多くの祖師を経て私たちに教えが伝えられる過程を仏画であらわしたものです。
 法身普賢は二番目の金剛薩■(こんごうさった)へ、言葉ではなく心で教えを伝えたと説かれるチベット仏教最高の仏で、日本仏教の大日如来(だいにちにょらい)にあたります。法身普賢は真理そのもので、本来目に見えない存在ですが、仏画に描かれる場合は、青い体の仏陀が妃を抱くチベット仏教独特の「父母仏(ふもぶつ)」の姿にあらわされます。
■は、つちへん+垂

7、寂静憤怒百尊曼荼羅(じゃくじょうふんぬひゃくそんまんだら) 二幅
布地・彩色 掛幅装 115×85㎝
 チベット仏教ニンマ派では穏やかな姿の四十二尊と怒れる姿の五十八尊(合わせて百尊)を描いた独自の曼荼羅が用いられます。これは別名「死者の書」とも呼ばれる経典『中陰聴聞解脱(ちゅういんちょうもんげだつ)』にもとづいて描かれたもので、人が死んでから次に生まれ変わるまでの間、魂が出会う百の神仏をあらわしたものです。
 寂静四十二尊の中心には最高尊である法身普賢が描かれ、その周囲には穏やかな姿の仏・菩薩が配されています。いっぽう憤怒五十八尊では、翼のある憤怒尊へールカを中心に鳥獣の頭をもつ女神など多くの恐ろしい神々が描かれています。チベット僧は死者の枕元でこうした情景を語り、死者の魂がより良い再生を遂げるように祈ります。 (末吉武史)

静寂憤怒百尊曼荼羅( 右は静寂尊、左は憤怒尊) 静寂憤怒百尊曼荼羅( 右は静寂尊、左は憤怒尊)
静寂憤怒百尊曼荼羅(右は静寂尊、左は憤怒尊)
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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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