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No.459

企画展示室2

古文書と記録で見る福岡藩政史7 ―藩主夫人と家族の生活・文化―

平成27年10月20日(火)~12月6日(日)

 この展示では本館が収蔵する古文書や記録によって、歴代福岡藩主夫人のたどった事跡を中心に、夫人と家族の生活・文化、それを支えた藩の人々を紹介します。藩主の、公的に唯一の夫人である正室は、幕府の婚姻(こんいん)の許可で決まり、しかも時代を通じてほぼ江戸の屋敷に住むことが義務付けられたので、郷土福岡の歴史とは直接の関係は少ないかもしれません。しかし近年、女性や家族などから見た歴史が注目されており、この展示も藩主夫人と家族が語る、新たな福岡藩政史と言えるでしょう。

淑徳録(手塚雪山著)

淑徳録(手塚雪山著)

(「御前様(おまえさま)」・藩主の正室夫人とは)

 一般に江戸時代の大名の家(家中)は、藩主が幕府に命じられた政治、軍事を果たすために、家臣を統制し領民を治めるための「表」の世界と、大名や家族の生活が営まれる「奥」の世界に別れ、それは藩の屋敷の構造にも反映しています。 二つの世界は幕府や諸大名同士、大名家の内部のさまざまな儀礼(ぎれい)、交際、祭祀(さいし)などで繋がれていました。正室は「御前様」などと呼ばれ、藩主と並んで表と奥とを合わせる要(かなめ)の一人でした。奥の世界の中の「大奥」などと呼ばれる場所では、大名自身の家の永続のため、子孫や後継者を育成しましたが、そこの主人こそが正室・藩主夫人でした。
 6代黒田継高(つぐたか)夫人の事跡を記した「淑徳録(しゅくとくろく)」には、このような正室の役割を、「御修篤(しゅうとく)」(個人的教養・学問)、「御貞操(ていそう)」(夫の藩主を助け支えること)、「御孝義(こうぎ)」(絶え間ない先祖のお祭りや、先代藩主夫妻などの世話)」「御教導(きょうどう)」(後継者育成や子供の教育)、「御衆徳(しゅうとく)」(さまざまな場面で、親類や家臣、さらには領民へ、藩主夫人として示される威厳(いげん)と思いやり)の五つで表現しています。当時の男性中心の武家(ぶけ)社会の理想像とも言えますが、藩主夫人の役割と地位の高さがうかがえます。


大凉院(栄姫)像

大凉院(栄姫)像

(福岡藩創世期の夫人たち・藩祖如水・初代長政~2代忠之夫人)

 姫路の出身で、地元の小さな城主の娘(光、照福院(しょうふくいん))を正室に持った如水(じょすい)に対し、関ヶ原合戦をへて江戸時代・徳川幕府が確立する過程で、初代長政(ながまさ)や2代忠之(ただゆき)は、幕府と将軍家の血筋・縁者の女性を夫人としました。長政夫人の栄姫(大凉(たいりょう)院)は長政の命で、他の諸大名よりもいち早く子供を連れて江戸に住み、また2代忠之の時の黒田騒動でも、大凉院の実家
保科(ほしな)家などからの支援によって黒田家は安泰となりました。幕府も大凉院には天領日田(ひた)の近くに化粧(けしょう)領という領地を与えるなど、重く遇しました。忠之夫人(久、梅渓(ばいけい)院)は結婚後早く亡くなり、忠之は後室を迎えなかったため、大凉院は国元の坪坂(つぼさか)氏と忠之との実子吉兵衛(光之(みつゆき))を将軍家光に拝謁(はいえつ)させ藩主の世継として認めてもらい、藩を安定させました。


(藩主の母として生きた夫人たち・3代光之夫人~5代宣政夫人)

 3代光之以降の数代にわたり、藩主や世嗣(よつぎ)(世子(せいし))や娘たちは、多くは幕府の中の有力な譜代(ふだい)大名と婚姻関係を結びました。3代光之夫人(イチ、宝光(ほうこう)院)は九州小倉(こくら)・小笠原(おがさわら)家から迎えられました。彼女の長男綱之(つなゆき)は父・光之によって未婚のまま廃嫡(はいちゃく)されましたが、二男綱政(つなまさ)が支藩の藩主から世子、そして4代藩主となりました、また外様大名・柳川の立花(たちばな)家から正室(六、心空(しんくう)院)を迎えました。 この心空院はのちに光之から遺言で、黒田家の名宝を譲られ、自分の持参した宝とともに、世子吉之(よしゆき)の夫人で有力な譜代大名本多家から迎えられた本光院(ほんこういん)に伝えています。また吉之・宣政(のぶまさ)兄弟に家を守り伝えるよう母としての遺言を残しています。しかし吉之の早世で宣政が5代藩主となり、岩手の南部(なんぶ)家から夫人(艶、瑞嶺(ずいれい)院)を迎えました。宣政は病弱だったため、夫人との間に跡継がおらず従弟の継高を養子に迎え、その夫人には幼い吉之の遺児・幸(こう)子が迎えられました。瑞嶺院は幼い二人の養母となりました。

休館日

開館時間
午前9時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)
休館日
毎週月曜日
※月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで
pressrelease

Facata(博物館だより)

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