正面ゲートと博物館の間には、広さ2,000平方メートルもある池があり、ハーフミラーで覆われた博物館の姿を水面に映し出しています。この池、けっこう深そうに思えますが、実は、一番深いところでも27cmしかありません。池の水は、館内で一度使われた水を再利用しています。この水は、池の中に藻がはえないように塩素処理されていますので、魚などの生き物は住むことができません。でも、ときどき池の中でオシドリなどが羽を休める姿を見かけます。
福岡市博物館は、平成2年(1990)の10月に、地域の歴史と民俗を研究・展示する博物館として開館しました。また、常設展示は、平成25年(2013)、内容を刷新しました。
福岡は、弧を描く日本列島の西の端にあり、ユーラシア大陸と朝鮮半島に近接しています。この地に住む人々は、古来、この国の誰もが知らなかった文化に最初に触れ、経験したことのない生産手段や経済活動を発展させ、遭遇したことのない脅威を克服し、豊かな都市を営みつづけてきました。
この博物館は、アジアとの人・もの・文化の交流がつくってきた特色ある歴史と、そこに生きる人びとのくらしを、さまざまなかたちで発信しています。
福岡市博物館のシンボルマークとロゴタイプについて
福岡市博物館のシンボルマークは、博物館を南側の正面から見たときに、強く印象に残る3つのアーチ、そして、福岡市の文化財を代表する国宝 金印「漢委奴国王」のかたちをもとに、デザインしました。マークのアーチ部分には、歴史と未来を結び、くらしと風土をつなぐ架け橋としての意味も込めています。また、マークの右下の矩形部分は、この地に流れてきた時間の堆積が地域の将来像を育む土壌となるという意味を込めています。
ロゴタイプは、漢字文化圏のなかで知識と思想の広まりに大きな役割を果たした活字・明朝体をもとに、福岡という都市の空気にふさわしい活気や軽やかさが感じられるようにデザインしました。
博物館マップ
面積約50,000平方メートルの敷地に建つ福岡市博物館は、上からみると100m×100mの正方形をしています。開館に先だって、平成元(1989)年に開催されたアジア太平洋博覧会のテーマ館としても利用されました。
池
彫刻
正面入口の両側に立っている4体のブロンズ像は、フランス近代彫刻の巨匠、エミール・アントワーヌ・ブールデル(1861~1929)の作品です。1918年~22年に鋳造されたもので、向かって左に「雄弁」「力」と名付けられた男性像、右側に「勝利」「自由」と名付けられた女性像が80cmの高さの台の上に立っています。この高さ3.75m、重さ1tの巨人たちは、福岡市が市制100年を記念してパリのブールデル美術館から購入したものです。
作者ブールデルは、ロダンの助手をへて、1910年の「弓をひくヘラクレス」で世に認められました。4体の像は、もともとアルゼンチン大統領、アルベール将軍の記念碑の一部として制作されたものでした。依頼を受けたのは1912年、除幕が1925年ですから10年以上の歳月をかけて生み出されたことになります。全部で8組作られたうち、福岡市博物館のものは「雄弁」が6組目、他の3体が7組目に鋳造されたものです。国内では、同じ像1組が神奈川県の彫刻の森美術館、「力」が北海道立近代美術館に展示されています。