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ふくおかの歴史とくらし ―第13回新収蔵品展― 平成12年11月22日(水)~12月10日(日) 特別展示室A

3.近・現代の福岡と人々のくらし


第3回国民体育大会


十時マツヨ資料年賀状

 このコーナーは近代資料と民俗資料で構成しています。
 近代資料には、博覧会資料があります。昭和2年の「東亜博福岡縣出品案内(とうあはくふくおかけんしゅっぴんあんない)」や同11年の博多築港記念大博覧会(はかたちっこうきねんだいはくらんかい)、平和記念東京博覧会は殖産興業策のひとつとして催されたもので、その絵葉書や写真は当時の世相や様子を雄弁に物語っています。次に、映画館ニュースのスクラップや蓄音機(ちくおんき)、レコードあるいは宿泊先のステッカーが貼られたトランクやヨーロッパのガイドブックなどは新しい時代のモダンな文化を感じさせる資料です。「福岡城佐賀堀・中堀関係文書(ふくおかじょうさがぼり・なかぼりかんけいもんしょ)」は、堀で栽培されたレンコンの売上げを記した書類で、益金は黒田奨学会(くろだしょうがくかい)基金になりました。黒田奨学会賞状や目録、藤巴紋章付文庫などは黒田奨学会の活動を示す資料です。
 いわゆる戦時資料には、戦時債権(せんじさいけん)や戦費調達(せんぴちょうたつ)用のポスター類、戦意高揚のための「特別攻撃隊九軍神正伝」、愛国婦人会が関係者に贈った「愛婦帯(あいふおび)」などを展示しています。近代資料には、この他にも鉄道関係資料や「町市合併ニ関スル調査報告書」、花嫁衣装の振袖と帯など多岐にわたるさまざまな歴史資料を展示しています。
 民俗資料では、糸島郡野北地方(いとしまぐんのぎたちほう)の魚行商人シガを知る貴重な資料群を展示しています。オキメゴやアキナイ棒、タコノガサは行商の運搬用具、平メゴはイリコの製造用具です。ヒョーヒョーや前掛けはシガが行商に使う仕事着です。この前掛けは、酒屋が配った生地(きじ)の厚いものを改造して作ったもので、いずれも魚行商人シガには欠かせぬものです。
 トビウオの鰭(ひれ)の熨斗(のし)やチンポ凧(たこ)は、子どもの健やかな成長や子宝の授かることを祈って飾られたものです。
 一方、町屋の資料としては、嫁入り葛籠(つづら)や玉せせりの玉があります。皮革製の葛籠は、商家の嫁入り道具として用いられ、幕末から明治時代初めの博多商人の婚姻風俗を窺がい知ることができます。天明9年(1789)の箱書きのある博多堅町(はかたたてちょう)玉せせりの玉は、箱崎が中心とされる玉せせり行事が、博多町中でも行われていたことが判る資料です。
 山樵(さんしょう)用具には、台切大鋸(おおが)や前挽大鋸があり、染織用具には糸乾燥機があります。
 また、ドンザは漁師が着用した着物で、刺し子には海上での安全を祈る思いが込められています。


山田ラク資料
1.オキメゴ 2.アキナイ棒 3.タコノガサ

秋武エミ子資料 玉せせりの玉

4.美術工芸


篠原 統資料 縮緬地草花総文様振袖

 このコーナーでは、屏風や水墨画、浮世絵、絵巻物などの絵画を中心に振袖や人形を展示しています。
 「誰ヶ袖屏風(たがそでびょうぶ)」は、総金地の画面に実際に小袖の裂地(きれじ)を貼りつけたものです。紐に掛けられた衣装からは、華やかな小袖を幔幕(まんまく)替わりにして花見や紅葉狩りを楽しんだ趣味人の遊び心が伝わってきます。
 「白衣観音図(はくいかんのんず)」や「蓮池白鷺図(れんちはくろず)」は、雪舟(せっしゅう)の画風を伝える水墨画です。白衣観音図は、肥前人廣渡雪山、蓮池白鷺図は、筑後人等梅の作品です。いずれも雪舟に師事した水墨画で、作品は16世紀前半から中頃の水墨画様式をよく伝えています。
 「木曾義仲・巴御前図(きそよしなか・ともえごぜんのず)」は、狩野探幽(かのうたんゆう)に学んだ筑前黒田家の御用絵師衣笠守昌の延宝5(1677)年の作品で大和絵の様式を伝えています。
 「祇園祭礼絵巻(ぎおんさいれいえまき)」は、京都祇園祭の山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)を描いた絵巻物です。長大な巡行をあますところなく描いた江戸時代中期の作品で、作者は土佐派の大和絵系絵師が想定されます。
 錦絵には、「本朝義盗競(ほんちょうぎとうきそい)」や「義経五條橋之図(よしつねごじょうはしのず)」などがあります。江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した月岡芳年の作品で、斬新な構図と鮮烈な色彩が印象的な作風です。
縮緬地草花総文様振袖(ちりめんじくさばなそうもんようふりそで)は、明治天皇の第八皇女允子内親王(のぶこないしんのう)から下賜された振袖で、内親王が皇居内を散歩する際に着用されていたものです。文様を豪奢な刺繍(ししゅう)で表した御縫御召(おぬいおめし)で、雲間の藤は公家所用の小袖によく見られる意匠です。
 博多人形の「豊神酒(とよみき)」は、天平時代の宮女をモデルにした博多人形師原田嘉平の晩年の作品で、さりげない立ち姿や表情に独特の叙情性が感じられます。


吉田 稔資料 祇園祭礼絵巻
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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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