平成3年12月10日(火)~平成4年2月16日(日)
油壺
髪に艶(つや)を与えるための、「水油」というサラサラした整髪用油を入れました。椿油が主な材料ですが、女性の髪結が増えると芳香をくわえた「匂い油」が流行しました。近年の洋髪の普及により、さっぱりした洋風整髪料が好まれました。乳化したへアークリームなども現われ整髪料も多様化し、それとともにガラス容器が出現し、油壺も使われなくなりました。
染付松鶴文油壺 | 染付草花文油壺 |
肥前系 江戸時代中~後期 器高9.6cm 最大径8.7cm |
肥前系 江戸時代中期 器高10.4cm 最大径11.1cm |
染付蛸唐草文油壺 | 染付竹梅文油壺 |
肥前系 江戸時代後期 器高5.3cm 最大径8.3cm |
肥前系 江戸時代中~後期 器高11.3cm 最大径10.8cm |
色絵菊花蝶文四角油壺 | 陶器簾(すだれ)文油壺 |
瀬戸・美濃系 明治~昭和時代 器高6.6cm 胴部幅6.5cm |
関西系 江戸時代後期 器高4.6cm 最大径8.5cm |
用語解説
- 〔瀬戸(せと)・美濃(みの)系〕
- 愛知県瀬戸市周辺、岐阜県東部で作られた焼物の総称。古代から施釉(せゆう)陶器の生産地として著名であるが、江戸時代後期九州から磁器の製法を修得し、良質の染付(そめつけ)磁器を大量に生産した。油壺は型作りが多い。近代以降技術者が各地に移り、そこで生産されたものも瀬戸・美濃系と呼ぶ。
- 〔関西系〕
- 京都の楽焼(らくやき)を中心とする諸窯で生産された京焼(きょうやき)風のものの総称。同じ技術は各地に拡がっており、それらも含む。陶質で、比較的低火度で焼かれた。
- 〔肥前系〕
- 佐賀県西部、長崎県東部で生産された焼物の総称。16世紀末に朝鮮半烏から陶工を連れてきて、焼物の生産が始まった。唐津(からつ)焼と呼ばれる陶器と、伊万里(いまり)焼と呼ばれる磁器と大きく2つに分かれる。油壺はロクロで作られ、染付(そめつけ)や色絵(いろえ)で装飾される。
■展示協力者一覧(順不同、敬称略)
大橋康二、木村敏子、渡邊敏助、上原弥寿喜、三角隆、帯屋蘭子、前田盛幸、冨田幸利、広田良己、赤間美奈子、長彦太郎