平成7年7月18日(火)~10月22日(日)
触れ太鼓 |
伝え合いとは
わたしたちの暮らしの中で、人と人とがいろいろな事柄を伝え合うのは、ごく普通のことです。ともすれば、それを意識することすらないのですが、これが円滑にいかないと対人関係などをはじめとする社会生活に破綻をきたしてしまいます。伝え合うことは、それほど重要なことなのです。
伝え合いというと、特定の相手があってする相互伝達のことと思いがちですが、それだけをいうのではありません。不特定多数の人が相手だったり、明確な意志がないのに自然に伝わる非相互伝達、他人に伝えた事柄がやがては自分にもどることを期待する自己回帰伝達など、様々な伝え合いのありかたがあるのです。伝え合う場合、言葉や音、身振り、さらには、文字や図像などが使われます。日本では、伝える内容を、言葉や身振りに直接には表さないことが重視され、伝統として今日まで伝えられてきました。図像においても、具体的なものより象徴的なものが用いられてきました。それが多様な「伝え合いのかたち」を生み出してきた一因にもなっています。
今回の展示では、伝え合いの多様な方法の一端を紹介いたします。人と人の関係が疎遠になりつつある現代、ここで、もう一度過去の伝え合いの知恵を振り返って考えてみてはどうでしょうか。
電話 |
1、あの人に伝えたい
人々は相互の意志を言葉や文字で伝え合う。伝える相手が個人か集団かの違いによって、その形式は異なってくる。それは、公私の違いの現れでもある。言葉は文字に比べて曖昧な面があり、公式な場面では、文字による伝達か、文字にしたものを読み上げるというかたちが用いられることが多い。集団の伝え合いには、文字や言葉以外に、音や光によるものもある。昭和の初期までは、太鼓や拍子木でムラ中の人々に寄り合いなどの用件を知らせたり、提灯で町名や役職を表示したりもした。
祝辞 | 山笠提灯 |