平成8年3月26日(火)~9月29日(日)
5 綿津見神社 木造狛犬 |
5 木造狛犬(もくぞうこまいぬ)
1対/福岡市東区 綿津見神社(わだつみじんじゃ)/像高 (阿形)29.7センチ (吽形)30.0センチ
吽形(うんぎょう)の頭部に角(つの)の跡があることから、本来は獅子・狛犬の1対として作られたと思われます。やや大げさにもみえる表情や体躯のプロポーションは室町時代の狛犬にしばしばみられる特徴ですが、誇張された表現は像の小ささとともに逆に愛らしきを感じさせます。材質はクスで、全身を一木から彫り出しています。
6 城南区 石造狛犬 |
6 石造狛犬(せきぞうこまいぬ)
1対/福岡市城南区/像高 (阿形)36.5センチ (吽形)39.0センチ
台座も含めて40センチたらずの小像ですが、たて髪が巻き毛ではないなど伝統的な和様(わよう)(日本風)にもとづいた整った姿の獅子・狛犬です。台座に刻まれた銘文から享保2年(1717)に岡部六郎左衛門という人物によって奉納されたことが知られ、江戸時代の作風を知る上で基準となる作例です。
7 福岡市美術館 木造狛犬 |
7 木造狛犬(もくぞうこまいぬ)
1対/福岡市美術館(松永記念館寄贈)/像高 (阿形)38.9センチ (吽形)41.1センチ
全体のプロポーションは鎌倉時代の和様(わよう)(日本風)の狛犬に近い姿をしていますが、頭が非常に小さく阿形(あぎょう)は口から舌を垂らすなど珍しい特徴を備えた獅子・狛犬です。また小さな材を不規則に寄せ集めて造るところも変わっており、狛犬の多彩な表現を知る上で参考となる作例です。
8 福岡市美術館 石造狛犬 |
8 石造狛犬(せきぞうこまいぬ)
1対/福岡市美術館/像高 (阿形)58.3センチ (吽形)62.0センチ
堅(かた)い玄武岩(げんぶがん)から彫られており、阿形(あぎょう)の頭部には角(つの)を、吽形(うんぎょう)の頭部には宝珠(ほうじゅ)をあらわしています。台座(未出陳)に享保14年(1729)の銘文があり、江戸時代の中頃に作られたことがわかります。丸々と太った体躯や動きの少ない姿勢は今日、神社の参道(さんどう)に安置されている狛犬に一歩近づいた感があります。
9 個人蔵 陶製獅子 |
9 陶製獅子(とうせいしし)
1躯/個人蔵/像高 47.1センチ
18世紀頃の有田焼(ありたやき)の系統に属する陶製の獅子です。神社に奉納されたものか置物として作られたのか用途は不明ですが、江戸時代にはこのような獅子も作られていたことがわかる貴重な資料です。体に丸い紋様をほどこすのは獅子・狛犬にしばしば見られる表現です。
本展の開催にあたりまして飯盛神社、恵蘇八幡宮、志賀海神社、宗像大社、綿津見神社ほか御所蔵者、管理者の方々に御配慮賜りました。記して感謝申し上げます。
※なお、1の宗像大社・木造狛犬は6月30日までの展示です。