平成10年5月12日(火)~7月12日(日)
ポスター(愛国の華) |
着物地の宣伝ポスター。女性の明るい表情や紺と黄色のコントラストが醸し出す軽快な雰囲気と対照的に、鎖の帯締めや日の丸の帯留めにさりげなく戦時色を漂わせている。 |
館蔵の戦時関係資料をテーマ別に展示する「戦争とわたしたちのくらし」では、満州事変が起こる昭和6(1931)年から、昭和20(1945)年の太平洋戦争敗戦まで続く、「十五年戦争」期の日本社会の様々な面を紹介します。
今回は戦時期の女性の果たした役割や社会での位置について考えてみました。
女性にとっての太平洋戦争については、これまでにも色々な語られ方がなされてきました。ある時には夫や息子を喜んで戦場に送り出した健気な存在であり、ある時は苦しい生活のなか、家族の健康を守った気丈な存在でした。そのいずれも間違いではありませんが、いつも受け身の存在であり続けたわけではありません。物資不足の中でより良い生活のために工夫し、モンペでおしゃれをするなど、日常生活に前向きに取り組んでいきました。展示では、そうした戦時期女性の有り様を、「励ます」「工夫する」「働く」「組織化される」「描かれる」の5つの視点からとらえてみました。
(野口 文)