平成17年3月29日(火)~平成17年9月25日(日)
二、様々な梵音具
(一)体鳴(たいめい)楽器
打楽器のうち、楽器自体の震動によって音を発するものを体鳴(たいめい)楽器と呼びます。チベットで用いられる梵音具のうち、体鳴楽器に属するものの多くは金属でできており、中でもシンバルに似たブグチェル(縦ばつ)は読経の伴奏や楽曲のリズムを導く重要な役割を担っています。いっぽう、ティルブ(金剛鈴(こんごうれい))やティンシャグ(小銅(しょうどう)ばつ)は、祈祷の際に清らかな音で神仏を供養するのが本来の役割であり、むしろ法具としての意味あいが強い楽器といえます。
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ラクガ(柄太鼓) |
(二)膜鳴(まくめい)楽器
打楽器のうち、張った膜の震動によって音を発するものを膜鳴(まくめい)楽器と呼びます。チベットで用いられる梵音具のうち、膜鳴楽器に属するものとしては大小様々な太鼓類があげられます。このうち、ラクガ(柄太鼓(えだいこ))はチベット独特の太鼓であり、手で持つための柄が付いており、持ち運びながら演奏することもできます。また、チャンテゥ(振鼓(ふりつづみ))は、デンデン太鼓のように、振って音を出す太鼓ですが、小型のものは人間の頭蓋骨でできています。
(三)気鳴(きめい)楽器
管(くだ)の中にある空気を震動させ、空気自体を発音体とする楽器を気鳴(きめい)楽器と呼びます。チベットで用いられる気鳴楽器にはユニークなものが多く、例えば、ドゥンチェン(大笛)は2メートルを超える大型のラッパで、法要の開始や貴人の来訪などを知らせます。ギャリン(中笛(ちゅうぶえ))はチベットでは唯一の旋律(せんりつ)(メロディ)楽器であり、演奏には高度な技術が必要とされます。また、カンリン(骨笛(ほねぶえ))は人骨でできた笛であり、主に葬儀の際に用いられます。 (末吉武史)
カンリン(骨笛) |
ギャリン(中笛) |