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No.265

考古・民俗展示室

考古資料に見られる草花

平成17年8月23日(火)~10月30日(日)

 日本では考古資料に草花の文様が本格的に見られるようになるのは、6世紀中頃に仏教が伝わって以降のことで、古墳時代の馬具や寺院の飾りなど限られた階級に用いられました。金属・漆工芸の他、瓦や磚(せん)(レンガ)等の建築装飾・陶磁器の文様に取り入られた草花文様は時代ともに世俗化され、庶民の愛好するところとなりました。

大陸伝来の唐草文と蓮華文

 ギリシア生まれ、中央アジア育ちの唐草文、古代エジプトもしくはインド生まれとされる蓮華文は、中国・朝鮮半島を経て、仏教伝来からやや遅れて日本へ入りました。
    

・パルメット唐草  
西アジア生まれで、掌(てのひら) palm を広げた形に似た ナツメヤシの葉を図案化したものです。 日本では飾り馬具を中心に出現しました。
鉄地金張杏葉(てつじきんばりぎょうよう)(嘉穂郡穂波町 西ノ浦上(にしのうらかみ )横穴群出土 )ハート形の杏葉で、縁に珠文(しゅもん)をめぐらせ 、文様板には 左右対称2対のパルメットを透かし彫りし てい ます。
晩唐三彩(ばんとうさんさい) 印花文五輪花皿(いんかもんごりんかざら)(柏原M遺跡出土)五弁の花びらをかたどった輪花の内側隅にパルメットを配します。


・ 葡萄唐草(ぶどうからくさ)
パルティア、ササン朝ペルシア(現在のイラン付近)から中央アジア、中国・朝鮮半島を経て、日本へ伝わりました。
海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)鏡背に葡萄唐草文と海獣像を重ねた円鏡です。


・宝相華唐草(ほうそうげからくさ)
唐時代に生まれた想像上の植物文で、牡丹・蓮華・葡萄などが合成されたものです。
軒丸瓦・軒平瓦〔天台寺跡(上伊田廃寺)出土〕京都妙心寺鐘の撞座(つきぎ)(撞木(しゅもく)が当たるところ)の蓮華文・上帯の唐草文と同じ意匠を用いています。


・ 蓮華唐草(れんげからくさ)
中国唐文化で発達し、寺院から宮殿の飾りへと世俗的なものとなります。
蓮華唐草文磚(多々良込田遺跡出土)大宰府史跡発掘調査(学校院跡)では同じ型による完形品が出土しています。


・蓮華文 
ハスの花を図案化したもので、平安時代後期以降に 巴文(ともえもん)が主流となるまで軒丸瓦の瓦当文様といえば蓮華文でした。
那珂(なか)遺跡群・井尻B遺跡群出土の百済系軒丸瓦、三宅廃寺出土の老司式軒丸瓦、那珂君休(なかくんりゅう)遺跡群出土の鴻臚館式軒丸瓦と、花びらの形や中心の蓮子(ハスの実)など意匠の変遷を追うことができます。

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
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