平成20年1月16日(水)~3月16日(日)
5. 曼荼羅(まんだら)とは何か
タンカの中には濃密な色彩を用いて多くのほとけを幾何学的な図形の中に描いたものがあり、これを一般に曼荼羅と呼んでいます。曼荼羅は本尊を中心とするほとけたちの世界を目に見えるかたちであらわしたもので、密教僧がイマジネーション(=観想(かんそう))の力によって自己をほとけの世界と一体化するために用いられます。
曼荼羅には多くの種類がありますが、その構造は世界の中心にそびえ立つ須弥山(しゅみせん)をモチーフにしているといわれます。今回展示した須弥山図には円形の海の中央に須弥山があり、その上には宮殿が描かれています。この宮殿を大きくして真上から見たように描いたのが曼荼羅というわけです。
なお、曼荼羅と呼ばれるものの中には必ずしも幾何学的な構図をとらないものもあります。チベット仏教のニンマ派で用いられる寂静(じゃくせい)四十二尊曼荼羅と忿怒(ふんぬ)五十八尊曼荼羅(=寂静忿怒百尊曼荼羅)は、人が死んでから生まれ変わるまでの間に出会うという100のほとけが描かれています。
(末吉武史)
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22.護法尊曼荼羅 |