平成20年1月16日(水)~3月16日(日)
4.菩薩(ぼさつ)
15.観音菩薩 |
菩薩は古代インドの言葉でボーディ・サットヴァ(=悟りへの勇気を持つ者)と呼ばれ、多くの人々を救済しながら自らも悟りを得るための修行を続けているほとけです。観音菩薩(かんのんぼさつ)や文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)などがこれに含まれます。中でも観音菩薩は様々な姿に変化(へんげ)して人を苦しみから救うと経典に説かれているため、十一面観音(じゅういちめんかんのん)や千手観音(せんじゅかんのん)など多くのヴァリエーションをもっています。なお、チベット仏教では四本の手をもつ六字観音(ろくじかんのん)が、地獄などの六道(ろくどう)から人を救うほとけとして特に人気をあつめています。
5.女性尊(じょせいそん)
仏教では本来異性との接触はタブーであり、(男性の)僧にとって女性は修行の妨げとされてきました。しかし7~8世紀になるとヒンドゥー教の女神(じょしん)崇拝の影響を受けて、仏教は次々と女性のほとけを登場させ、既存のほとけたちの妃(きさき)に位置づけていきます。タンカに描かれる代表的な女性尊としてはターラー(=多羅菩薩(たらぼさつ))と呼ばれる女菩薩や、千の顔と手と足をもち国土と人民を災厄から護る白傘蓋仏母(びゃくさんがいぶつも)がよく知られています。また、後期密教では性的なイマジネーションによる修行がおこなわれますが、その中ではヨーギニー(=瑜伽女(やがにょ))やダーキニー(=空行母(くうぎょうも))という踊るような姿をした女性のほとけが登場します。なおダーキニーは日本では荼枳尼天(だきにてん)として狐に乗った姿であらわされます。
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19.白傘蓋仏母 |
6.護法尊(ごほうそん)
21.ペンデンラモ |
護法尊は仏法を護るほとけたちのグループで、日本の仏教における「天部(てんぶ)」と「明王(みょうおう)」に相当します。その多くはインドの古い神々が仏教に取り込まれたもので、マハーカーラ(=大黒天(だいこくてん))やアチャラ(=不動明王(ふどうみょうおう))、ハヤグリーヴァ(=馬頭明王(ばとうみょうおう))などが含まれます。護法尊の中にはチベット土着の信仰の影響を受けたものもあり、髪の毛を逆立ててラバに乗る女神ペンデンラモもそのひとつです。