平成20年1月16日(水)~3月16日(日)
4.ほとけの種類
タンカの主題となるほとけの種類は日本の仏教よりも圧倒的に多く、その姿も複雑です。しかし、その性格や働きによっていくつかのグループに分けることができます。
1.如来(にょらい)
悟りを得たほとけのことを指し、釈迦如来(しゃかにょらい)や薬師如来(やくしにょらい)、阿弥陀如来(あみだにょらい)などが含まれます。その姿は出家した僧侶をモデルとしているため、基本的には簡素な衣をまとっているだけですが、チベット仏教では密教的な解釈から髪をのばして宝冠を着けた姿であらわすこともあります。ほとけによって体の色や手のかたち(=印相)、持ち物などが異なります。また、如来に関係する題材のタンカとして、釈迦の生涯を描いた仏伝図(ぶつでんず)や、釈迦そのものを象徴する仏塔図(ぶっとうず)などがあります。
1.釈迦如来 | 5.仏塔図 |
2.祖師(そし)
チベット仏教では師匠がいなければ悟りを得ることができない、つまり師匠=ほとけという考え方から、宗派の祖や歴史上偉大な功績のあった祖師を特に大切にします。代表的な祖師には、八世紀にチベットに密教を伝えたとされる伝説的な密教行者パドマサンバヴァや、現在のチベット仏教の中心的な宗派であるゲルク派を開いたツォンカパ(1357~1419)などがあります。また、特定の宗派に関係する祖師やほとけを系図のように集めて描いたツォクシン(=集会樹(しゅうえじゅ))と呼ばれるタンカもあります。
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10.ツォクシン |
3.守護尊(しゅごそん)・忿怒尊(ふんぬそん)
僧侶や寺院の守り本尊とされ、イダム(=守護尊)と呼ばれます。多くは11世紀以降に成立した後期密教の本尊であり、日本には伝わらなかったほとけたちです。水牛の頭をもつバジュラバイラヴァ(=怖畏金剛(ふいこんごう))やニンマ派の守護尊で背に翼をもつヘールカなど、恐ろしい姿をとるものが多く、絶大な霊力をもつとされます。また、チャクラサンヴァラ(=勝楽(しょうらく))やヘーヴァジュラ(=呼金剛(ここんごう))などは、多くの顔と手をあらわして妃を抱く父母仏の形をとり、密教の最も重要なほとけとして曼荼羅の中心に描かれます。
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