平成20年1月22日(火)~4月6日(日)
備前焼
備前焼は現在の岡山県備前市一帯で生産された無釉の焼き締め陶器で、12世紀中頃に伊部山麓でつくられ始めたとされています。須恵器の製作技術を継承する還元炎焼成によるものが、13世紀後半以降に酸化炎焼成による茶褐色の陶器に移行しました。熊山の山間部で、甕・壷・すり鉢・皿などの雑器が生産されました。中国地方だけでなく、西日本一帯、鎌倉まで流通するようになっています。
15世紀に入って、増加する各地からの需要に対応すべく各地に分散していた窯を巨大な窯に集約し、積み出しに便利な湾の最奥部の山麓地へ窯が移動しました。十六世紀後半にはさらに大きな大窯で生産されるようになり、全盛期を迎え西日本一帯に流通しました。2石入・3石入といった大甕が生産されるようになったのはこの時期です。
博多遺跡群出土備前焼
すり鉢 | すり鉢 |
片口小壺 | すり鉢 |
奈良火鉢
14世紀から16世紀にかけて、大和で生産され、東北から九州まで広く流通していた瓦質土器の火鉢を総称して「奈良火鉢」といいます。また、各地には奈良火鉢を模倣した在地産もあります。形態は浅鉢形と深鉢形とに大別され、他に風炉があります。平面形は円・輪花・方形のものが見られます。外底部の縁に足を付けるものが多く、その形態も多様なものです。体部外面にスタンプ文を施したり、凸帯を巡らせるものもあります。スタンプ文には菊花文の他、桜花文・巴文・花菱文・珠文・雷文・唐草文・剣頭文などがあります。
瓦質土器火鉢(博多) |