No.330
考古・民俗展示室
平成20年11月18日(火)~平成21年2月1日(日)
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| 「池の鯉取り」(画:広田久雄) |
三、堰(せき)や池での魚とり 魚とりはお祭り騒ぎ
魚とりが行われていたのは、何も川だけのことではありません。灌漑(かんがい)用の溜め池や農業用水路、田んぼの中さえも、農家にとっては立派な漁場でした。
特に稔(みの)りの秋を迎え、田んぼに水がいらなくなると、それまで田に水を引き込むために溜めていた堰の水を開放する井出落とし(イデオトシ)や、ため池の水を減らして、底に溜まった泥を吐き出させる池干し(イケボシ)が行われました。それは農事の一環であるとともに、人々にとっての魚とりの大きな機会ともなっていました。近くの村々から多くの人々が集まり、思い思いのやり方で魚をとっていきます。大きなタブを手に魚をすくう者、投網で大物を狙う者、あるいはうざ(魚伏籠(うおふせかご))と呼ばれる籠を使ってコイをとる姿も見られました。
こうしてとられた魚は、農家の貴重な蛋白源(たんぱくげん)となっていました。フナなどの小魚を火であぶって乾燥させる風景が、あちこちの庭先で見られたようです。
《大濠(おおほり)の魚攻め(ウオゼメ)》 早良区小田部 毛利通友さん
大濠でやりよった魚攻めには行ったですよ。戦前からありよりましたが、戦後は2回ぐらいしたですかね。池が胸ぐらいまでの深さになって、公園のボートば借りてナゲアミを打ちました。あすこのボラは大きかったですもんね。ボラがボートいっぱいになったら、陸(おか)に上げて家内が売りかたです。1匹100円で売りよったです。それがまた買い手が多いとですたい。もちろん私は入漁料を払って網を打つんですが、20本売りゃもう2000円やから、元はすぐ取ります。
(松村利規)
| おもな展示資料 | 使用地 | 材質 | 員数 | 寄贈者・所蔵者 |
| ヤス | 博多区上呉服町 | 竹・鉄ほか | 一点 | 飯野義隆氏寄贈 |
| ビク | 南区五十川 | 竹ほか | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| スイチュウメガネ | 南区 | 木・ガラスほか | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| ビンツケ | 南区三宅 | ガラス | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| トアミ | 早良区内野 | ナイロン・鉛ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ハコメガネ | 早良区内野 | ガラス・木ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ホコ | 早良区内野 | 鉄・竹ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ウーテボ | 早良区内野 | 竹ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ワラジ | 早良区内野 | 藁・布ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| イワガタ | 早良区内野 | 石・砲金ほか | 一式 | 西嶋栄二氏蔵 |
| サオ | 早良区小田部 | 竹ほか | 一点 | 毛利通友氏製作 |
| ウナギテボ | 早良区内野 | 竹 | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ウナギトリテボ | 南区警弥郷 | 竹 | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| ウナギカキ | 早良区小田部 | 鉄・竹 | 二点 | 毛利通友氏蔵 |
| ダオケ | 西区姪浜 | 木・竹ほか | 一点 | 古賀善一氏寄贈 |
| ドウマル | 西区西浦 | 竹・棕櫚ほか | 一点 | 松田又一氏寄贈 |
| ドウマル | 早良区室見 | 竹ほか | 一点 | 小石原義彦氏蔵 |
| カニカゴ | 早良区室見 | ポリエステル・鉄ほか | 一点 | 小石原義彦氏蔵 |
| アミウケ | 早良区小田部 | ポリエステル・鉄ほか | 一点 | 毛利通友氏蔵 |
| ダツ | 早良区室見 | 茅ほか | 一点 | 小石原義彦氏製作 |
| ウケ | 早良区室見 | ステンレス | 一式 | 室見川シロウオ組合蔵 |
| ナゲアミ | 早良区小田部 | ナイロン・鉛ほか | 一点 | 毛利通友氏蔵 |
| ウケ | 南区塩原 | 竹ほか | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| ウケ | 南区向野 | 竹 | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| タブ | 西区姪浜 | 木・竹・木綿 | 一点 | 古賀善一氏寄贈 |
| ドジョウショウケ | 南区塩原 | 竹・木 | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| ウザ | 南区警弥郷 | 竹・棕櫚 | 一点 | 南区民俗文化財保存会寄贈 |
| トアミ | 早良区内野 | ナイロン・鉛ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |
| ホテ | 早良区内野 | 藁ほか | 一点 | 西嶋栄二氏蔵 |










