平成21年6月23日(火)~7月26日(日)
元岡・桑原遺跡の製鉄炉 (24次調査1号製鉄炉) |
大原A遺跡の鍛冶炉 (1次調査 SX1021) |
博多遺跡群の陶磁器埋納遺構 (124次調査 SK236) |
3.元岡・桑原遺跡の製鉄炉
古墳時代から奈良時代、現在の福岡市西部から糸島にかけての地域には大規模な製鉄・鍛冶施設が営まれていました。
今回展示しているのは、元岡・桑原遺跡第24次調査で検出された製鉄炉です。製鉄炉は砂鉄を高熱で溶かし、不純物を取り除いて銑鉄と呼ばれる鉄の素材を作り出す施設です。今回展示している製鉄炉は中央に砂鉄を溶かす箱形の炉を築き、その両側に溶けた不純物を流し出すための排滓坑を設置する構造です。中央の炉は長さ1m、幅70cmの規模で、両側の排滓坑からは炉壁や鉄滓が大量に出土しました。
4.大原A遺跡の鍛冶炉
元岡・桑原遺跡と同様、海に面した大原A遺跡でも製鉄に関連する遺構が多数検出されています。今回展示している遺構は平成4年に実施された調査で確認されたものです。鍛冶炉は鉄素材を加工して鉄製品を作るために鉄を熱するための炉です。この炉は円形の穴の床面に粘土を貼り付けて作られています。全体に熱を受けて赤く変色し、堅くなっているのが確認できます。
5.博多遺跡群の陶磁器埋納遺構
博多区店屋町の博多遺跡群124次調査区内で、陶磁器などを埋納した遺構が確認されました。陶磁器はそれぞれの種類ごとに重ねられ、伏せられた鍋の中に納められた陶磁器もありました。遺構の中には陶磁器だけでなく、鉄鍋や錫製品も納められていました。陶磁器の年代からみて、16世紀ごろに戦乱を避けるために埋められたものと考えられます。
この遺構のレプリカは遺構面と金属製品を出土状況のまま型取りしたもので、その上に陶磁器を発掘時のまま並べて出土状況を再現しました。
(大塚紀宜)
※今回の展示でご協力賜りました福岡市埋蔵文化財センター、並びに比佐陽一郎(文化財整備課)、片多雅樹(長崎県教委)の関係各位に厚く御礼申し上げます。