平成21年10月6日(火)~11月29日(日)
3 几帳檜扇文様振袖 |
◆染め文様の展開
友禅染が一世を風靡(ふうび)したのは、元禄(げんろく)時代(1688ー1704)のことです。しかし、あまりに繊細な意匠をマンネリに感じる女性たちもいたようです。元禄時代の終わり頃から、それまでの友禅染とは趣(おもむき)をことにする多様な染め文様が登場するようになりました。尾形光琳(おがたこうりん)(1658ー1716)の絵画や工芸意匠に影響をうけ、花や鳥といった文様モチーフの形を単純なかたちにデフォルメした光琳文様もその一つと言えるでしょう。また、糊置きによる染め残しの白抜き効果が意匠の上で生かされるようになり、やがては白抜き文様だけのツートンカラーの小袖も登場します。いっぽうで、友禅染の本領ともいえる絵画性をより推し進める方向性も見られます。文様に、生活感のある題材を取り入れ、きれいな配色よりもリアルな彩色にこだわった、今日から見ても通好みと言える小袖もつくられました。
12 芥子千鳥文様小袖 | 11 柳燕文様小袖 | 13 大原女文様振袖 |
(杉山未菜子)