平成21年11月17日(火)~平成21年12月27日(日)
1 吉武高木遺跡の大型建物(高殿)復元模型 |
現在、日本で一番高い建物は、昭和33年(1958)に完成した東京タワーで、高さ333mあります。ちなみに、これは自立式鉄塔としては世界一の高さです。また、世界で一番高いのは、カナダ・トロントのCNタワーの553mですが、アラブ首長国連邦ドバイで建設中の818mの超高層ビル、ブルジュ・ドバイが記録を更新するでしょう。さらに、中東では高さ1,000mを超す超々高層ビルの建設が計画されているようです。
さて、現在の福岡で一番高い建物は、今からちょうど20年前、1989年につくられた高さ234mの福岡タワーです。この展覧会では、各時代を代表する福岡のノッポさん(高い建物)の建てられた時期、構造、目的などを探っていきます。
【1】古代
吉武高木遺跡大型建物 (弥生時代)
弥生時代の集落である吉武高木遺跡(よしたけたかぎいせき)(西区吉武)では、大型建物の掘立柱跡が発見され、南北12.6m、東西9.6mの大きさの建物で、高さは12mであったと推定されています。物見櫓ではなく、高殿(たかどの)(二階建てなどの高層の建物)として建てられたのでしょう。建物模型(写真1)は、高床式(たかゆかしき)で復元されていますが、平地式(へいちしき)であったという見解もあります。
鴻臚館北館門楼 (平安時代)
古代の迎賓館(げいひんかん)・貿易商館であった鴻臚館(こうろかん)(中央区城内)北館の門楼(もんろう)(二階建ての櫓のある門)では、平安時代の天安2年(858)、唐から帰国した智証大師円珍(ちしょうだいしえんちん)が、同船した中国人と漢詩を詠み合い、宴会を催したという記録が残っています。 門楼の高さは不明ですが、博多湾を望む高台にあった鴻臚館の北館に、さらに威容を誇るように高い門楼を造ったものと思われます。
【2】中世
妙楽寺呑碧楼 (南北朝時代)
寺伝によると、貞和(じょうわ)2年(1348)、博多の北海岸付近(博多区古門戸(はかたくこもんど)町)に禅宗寺院石城山妙楽寺(せきじょうさんみょうらくじ)が創建され、境内の南西隅に「高楼百尺」(高さ30mか)と漢詩に詠まれた呑碧楼(どんぺきろう)が建てられました。呑碧楼は、日中の禅僧によって盛んに詩に詠まれ、楼の壁面いっぱいに、禅僧たちの墨蹟(ぼくせき)(漢詩)が掛けられていたといわれています。博多湾に入ってくる船にとって、灯台のような役割をしていたとも考えられています。