平成22年11月2日(火)~12月26日(日)
開局当時の福岡放送局 |
1920年に米国ピッツバーグに世界で最初のラジオ放送局が開局しました。その後、ヨーロッパ諸国でも次々とラジオ放送がはじまりました。日本でも「ラジオ」という新しいメディアに対する関心は高く、ことに新聞社は積極的にラジオ放送の公開実験を行いました。例えば、東京朝日新聞社は、大正11(1922)年、東京の上野公園で開催されていた平和記念東京博覧会の会場に受信装置を設置し、京橋の東京朝日新聞社屋上からレコード音楽を送信しました。また、福岡でも、九州日報社が大正14年2月に、福岡日日新聞社が同年5月に公開実験を行っています。
東京放送局(JOAK)が仮放送を開始したのは、大正14年3月22日。NHKは、これを記念して、3月22日を放送記念日としています。大正14年中に、大阪と名古屋でも放送がはじまりました。九州で最初の放送局が熊本に開局したのは、昭和3(1928)年6月のことです。そして、ちょうど80年前の昭和5年12月6日、福岡放送局が開局しました。
福岡放送局(JOLK)開局
九州で最初の放送局の誘致には、福岡も名乗りをあげていましたが、大正15(1926)年10月、地理的に九州のほぼ中央に位置し、放送事業を所管する逓信(ていしん)省がある熊本に放送局を設置することが決まりました。熊本放送局(JOGK)の開局に合わせて、福岡には「福岡演奏所」が因幡町(いなばちょう)(福岡市中央区天神二丁目)につくられました。福岡と熊本の間に中継線を設置し、福岡演奏所から有線で送られたものが、熊本放送局から放送されるという仕組みです。中継線の完成を待って、昭和3(1928)年9月16日に福岡演奏所が開所しました。開所式は、公会堂(旧福岡県公会堂貴賓館福岡市中央区西中洲)で行われました。演奏所のスタジオから熊本放送局経由で、スピーチや余興の伴奏音楽などが送られ、開所式の会場で、それを受信するという趣向でした。
福岡演奏所から番組を発信しているとはいえ、熊本放送局の送信機の出力はまだ小さく、家庭用のラジオでは受信しても雑音がひどくて放送内容を充分に聴き取ることはできませんでした。「福岡に放送局を!」という動きは一層強くなりました。当初の計画より実際の電波受信状況が思わしくなかったこともあり、放送事業の第2次拡張計画(昭和4年)に福岡放送局の設置が織り込まれました。そして、昭和5年12月、福岡放送局が開局したのです。昭和5年度末、福岡県の受信契約数は1万1876件、普及率は2.5%でした。