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No.403

黒田記念室

文書のかたち

平成24年6月12日(火) ~8月5日(日)

図1 折紙(史料1)
図1 折紙(史料1)

 身分制の社会であった前近代においては、文書(もんじょ)を遣(や)り取りする発信者と受信者の身分の違いが文面に表されました。手紙を書くときの礼法は、書札礼(しょさつれい)と呼ばれ、差出(さしだし)や宛名(あてな)の書き方、紙の形や質、封(ふう)の仕方等、細かな決まり事がありました。お互いの身分差に応じて書札礼に適(かな)った書式が選ばれました。
 本展では、福岡市博物館が所蔵する約5万点の古文書コレクションの中から、中世文書を素材に、文書のさまざまな形について紹介します。

◆かたち
 漉(す)いた紙を規格のまま使用する形を竪紙(たてがみ)といいます。折らずに使用する竪紙に対し、紙を横に二つ折りして折り目を下に向けて書く形を折紙(おりがみ)といいます。広げると上下で文字の向きが逆さになります(図1)。折紙は竪紙にくらべ、略式、薄礼(はくれい)な形式となります。物の価値や人の評価がすぐれていることを「折紙付き」といいますが、これは鑑定書をこの折紙に書いたことに由来します。竪紙を切断して使用する形を切紙(きりがみ)といい、横長に二等分した大きさより小振りになると、小切紙(こきりがみ)と呼ばれます。継紙(つぎがみ)は、紙を2枚以上、糊で貼り継いだものです。長文の手紙に使用されました。

◆紙の材質
 紙の材料には、楮(こうぞ)か雁皮(がんぴ)が主として使用されます。茎の表皮をはいで靱皮(じんぴ)と呼ばれる繊維(せんい)を細かく砕いて漉きます。楮を原料とする紙が楮紙(ちょし)で、紙の繊維が見え、表面がざらついています。雁皮を原料とする紙は雁皮紙(がんぴし)斐紙(ひし)と呼ばれ、楮紙に比べて繊維が細かく、表面が平滑で光沢のある仕上がりとなります。

図2 竪の中折り(史料2)
図2 竪の中折り(史料2)

◆紙のたたみ方
 文書は通常、左端(奥)から内側に折って巻きます。そうすると端裏(はしうら)(右端の裏側)が表に出て、時の経過とともに汚れて黒ずみ、表面が毛羽立(けばだ)ちます。文書のどの箇所が汚れているかで、折りたたみ方が分かります。図2は、奥二折分がやや傷んでいます。一見、右端から文字面が表になるように折りたたんだかのように見えますが、折り筋の幅を確認すると、そうでないことが分かります。中央の折り幅がもっとも狭く、左右に行くに従い、少しずつ折り幅が広がっていきます。これは文字が書かれた面を外側にして縦に二つに折り、左端の宛名が外側になるように折り目から順に折りたたんだものです。このたたみ方を竪(たて)の中折(なかお)りといいます。

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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