平成24年6月12日(火) ~8月5日(日)
◆封の仕方
文書の右端を下から中程まで切断し、これを帯にしてたたんだ紙が広がらないように全体を結(ゆ)わえ、その上から封締(ふうじめ)を書きます。この封式(ふうしき)を切封(きりふう)(図3)といいます。結(むす)び封(ふう)(図6)は切らずに上部を結んだ形式です。現在、封筒にいれて手紙を出すのと同様に、折りたたまれた手紙は、別の紙で包んで相手に届けられました。この包み紙を封紙(ふうし)といいます。折封(おりふう)は折りたたんだ本紙を三つ折りで包み、上下を裏側に折った形式です。裏側に折った後、さらに2回、90度に折り返すと、あたかも左右に捻(ひね)った状態となります。これは捻封(ひねりふう)(図4)と呼ばれ、捻封を広げると、上下に×印の折り筋がつきます。
◆大きさ
豊臣秀吉(とよとみひでよし)の手紙は、秀吉が関白(かんぱく)となる天正(てんしょう)13年(1585)頃より、急にそれまでと比べて尊大な書きぶりに変化します。檀紙(だんし)(図5)という大きく上等な紙に、大振りの文字を堂々と記すようになります。これは、単に秀吉が天下人(てんかびと)になり、威張(いば)りちらすようになったからではなく、当時の書札礼の慣習に則(のっと)り、関白・秀吉と受信者との身分の差を示したものなのです。巨大な紙は、権力の強大さを表しているのです。戦国大名(せんごくだいみょう)の出した手紙と比較すると、1枚の紙の大きさは、面積にして約2倍以上に拡大します。
(堀本一繁)
図4 捻封(×印部分・裏・表)(史料12) | 図3 切封(端裏・巻き姿)(史料9) |
図6 結び封(史料10) | 図5 檀紙(史料6) |