平成27年2月24日(火)~4月26日(日)
⑥ 子供祭 (博多区吉塚(よしづか)三丁目)
六月五日 市内東堅粕(ひがしかたかす)の飛来(ひらい)神社(俗にお飛来さまと云ふ)の子供祭である。この神体の衣冠(いかん)の木像は何処からともなく飛んできたもので、子供が好きであるからこれを担いだり投げたりすれば子供は達者になると云はれてゐる。
『筑前国続風土記』(一七〇九年)に「古昔(こせき)此村に温泉あり。是を薬師(やくし)の湯と云。其側に大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなびこなのみこと)の二神を勧請して、湯守の神とす。後世薬師仏を以て両神に替えたり」とあります。飛来神社の祭神は、もとは温泉・医療の神であったようです。古老によれば、かつて夏になると近所の子供たちが神像を持ち出して川に投げ込み、浮き袋がわりに遊んだといいます。転がされ摩耗したその姿からは、子供たちの深い親しみを感じとることができるでしょう。
⑦ 御野立所(おのだてしょ)紀念祭 (博多区空港前二丁目)
十一月三日 市内下臼井(しもうすい)に於ける大正天皇の御野立所(大正五年十一月十三日陸軍特別大演習御統監(ごとうかん))では区民が集合して紀念祭を行ひ、相撲をする。
福岡市博物館の収蔵品の中に、福岡空港のすぐ近くのお宅からいただいた荒神釜(こえじんがま)があります。これは大正天皇に差し上げるお茶の湯を沸かした羽釜(はがま)だと伝えられています。荒神釜は、台所をつかさどる荒神をまつる特別のかまどで、ふだんの煮炊きに使われることはありません。御野立所(天皇の休憩所)が設けられた場所には記念碑が建てられ、現在は緑地公園となっています。 (松村利規)
おもな展示資料
- 五大力菩薩縁起絵 一幅
- 選擇寺所蔵
- トビ 一点
- 石釜トビトビ資料
- 博多明治風俗図 一枚
- 石橋源一郎資料
- 東長寺独楽 一個
- 野間吉夫収集資料
- 神像 二躯
- 飛来神社所蔵
- 荒神釜 一式
- 篠原隆弘資料
本展の開催にあたり選擇寺および飛来神社には格別のご協力をいただきました。ここに記して感謝いたします。