平成27年6月16日(火)~平成27年8月16日(日)
はじめに
24回目となる今回は、「戦時のくらしを振り返る」をキー・ワードとして、近年博物館に寄贈された戦時資料を展示します。雑誌・ニュースに掲載された写真を中心に、当時の世相を振り返ることからスタートし、「銃後」(戦闘に参加しない国民を指す)の役割や、出征兵士と家族の手紙の遣り取り、婦人会における女性の活動を紹介します。そして、福岡大空襲での被害にふれ、終戦後にまで継続していた「戦時」の事例を紹介します。
戦後70年の節目に、戦争の時代を改めて振り返ることで、今日の平和について考えていただける機会となれば幸いです。
一 写真・雑誌でみる戦時
戦時中の政治、戦況、人びとのくらしを、当時のグラフ雑誌や写真ニュースからのぞいてみましょう。
『写真週報』 創刊号の表紙 |
政府の情報戦略の拠点で編集された『写真週報』の刊行には、写真や絵を用いて国民に国家の政策を宣伝するという意図がありました。このため、『写真週報』からは、政府が求める国民像を読み取ることもできます。
昭和12(1937)年7月、日中戦争がはじまりました。戦争が長期化するなかで、『写真週報』では、職業婦人特集や質素倹約を訴える漫画、国民服の奨励など、人びとの生活に密着したテーマを掲載します。
「読売ニュース焼付版」は、読売新聞社が発行した葉書大のニュース記事です。毎号、一枚の写真と簡単な解説文で構成されています。太平洋戦争期の「読売ニュース焼付版」には、戦地の情報のほか、金属供出や学生の訓練のニュースも見られます。戦局が悪化した昭和18(1943)年以降には、疎開、空襲に関するニュースが登場するようになりました。